腹いっぱい

仕事を探しているんだろ？
よし。お前を使ってやる。
この辺りの連中は、優れた傭兵が解決できる問題をたくさん抱えている。
これらの依頼はどんどん溜まっていて、俺の部隊は予約でいっぱいだ。

それでどうだ？ 手を汚す気はあるか？

おお、帰ったな！
仕事が欲しいなら、ここに全く新しい契約の束があるぜ。
どうだ？ 興味あるか？

顧客は誰かに飼育小屋の奥まで行ってもらいたいということだ。
彼女は特別なヅラゾグの餌を手に入れたいと言っている。
どうやらあそこで捨てられてる残飯が最高の飼料らしいな。

変だな。
俺はヅラゾグってのは他のヅラゾグを食うもんだと思ってたが。

ああ。競争のつもりなのか、危険だからなのかはわからないが、アルシュナはそれに加えてヅラゾグ訓練師ニコルヴァラを殺してきて欲しいと言っている。
それには追加で報酬を出すそうだ。
追加の支払いはいつでも大歓迎さ。

もっと詳細なことが知りたいなら、自分で彼女に聞いてみればいい。
すぐ外にいるよ。

ヅラゾグの周囲では気をつけろ。
仲間の一人があれを番犬として訓練できると思ったんだ。
ある日怒って彼の腕を、枝に成るリンゴのようにもいじまった。

残念だよ。彼はリュート奏者として一流だった。
俺の友達の方だからな。ヅラゾグのことじゃない。

なるほど。たまに自分に同じことを質問してるよ。

私はドラゴンスターキャラバン社の契約仲介人だ。
クログが家の飾り付けの計画を始めて以来、ずっと契約を結んでいる。
続ける人材が足りていないだけだ。

そうだ。
我々は「財産警護コンソーシアム」。
もっとくだけて言えば、金のために働く歩兵と乱暴者の集まりだ。
仕事のほとんどはキャラバンの警護だが、金さえ払ってくれるなら、どんな仕事でもやる。

ハハ！ いや、違う。
金が欲しいチンピラは、充分雇ってある。
これは厳密な契約の仕事だ。
お前に仕事を与えて、お前は最後に報酬をもらう。
簡単なことだ。

あの老いぼれたグルズグが、あなたを遣わせたのね？
ちょっと確認しておくけど、これであなたは何本か指を失うかも知れないわよ。
ニコルヴァラは彼女のヅラゾグを興奮させたの。
動くものなら何でも噛みつきそうなほどにね。

じゃあ、私のために小屋に戻るつもりなのね？
ありがとう。
絶対にヅラゾグの餌にはならないでね。

どんな食料でもいいわけじゃないの。

まずヅラゾグについて知っておいてもらいたいのは、生存能力が高いってこと。
ほとんど何を食べても生きていける。
あの醜いリークルどもは、飼ってるヅラゾグにホーカーの軟骨と古い骨しか与えてないんだから！

そんなこと聞く必要ある？
小屋にいるヅラゾグを見たでしょ。巨大だわ！
私は思いつく限りの肉やハーブを試したけど、あの半分の大きさにも育てられない。

もう考えるのはたくさん。
私はシェフじゃなくて動物調教師よ。

そうよ。あのノルドの魔女を葬って。

友好的な競争相手くらいなら構わないけど、ニコルヴァラは全てのヅラゾグ調教師の評判を下げてる。
それもたくさんいるわけじゃないから、要するに私の評判を下げてるの。
それは我慢ならないわ。

思いきり噛みついてあげなさい！

誰も私のヅラゾグを傷付けられない。

私のヅラゾグはよく躾けられてるわよ。

引き裂け！

飼育小屋から戻ったのか？
悪気はないが、ブーツをこすってきれいにした方がいいかもな。
アレの中に入ったみたいな臭いがする。

会社はすでに分け前を取った。
もし報酬が欲しいなら、アルシュナと話せ。

戻って来て嬉しいわ。
噛み傷が少しだけなのも嬉しい。
認めるわ。正直驚いた。

小屋ではうまくいったの？

それで安心したわ。
人々にヅラゾグを信頼してもらうのはただでさえ難しい。
頭のネジの緩んだノルドが、人々にけしかけてしまったらどうにもならないし。

この飼料は正しい目的のために使わせてもうわ。
もし誰か、強くて性格のいい犬を探している人を見つけたら、私のところによこして。
いいわね？

ヅラゾグを訓練するほど忍耐力があるか、その経験を耐え抜くほど強い人は多くない。
でも、あなたには何かがあるわね…
いつかあちこちさまよって何かを突き刺す仕事に飽きたら、やってみるといいわ。