書籍

逃げた理由

我々がオルシニウムから逃げたのは臆病だったからだと言われるだろう。
子供たちよ、それは嘘だ。
時が流れ、人々が己の出自を忘れたとしても、恥じ入って項垂れてはならない。
トラグの愚行、バロスの裏切り、そしてゴルカールの墓の物語を忘れるな。

オークは強い種族だ。
精悍で戦を恐れない。血は我々の生来の権利だ。
マラキャスの筋肉が我々の骨を包んでいる。
だが我らは座して動かないでいられるようには作られてはいない。
腰を据えて土地を耕すように生まれついてはいないのだ。
その代り、旅をして略奪するように生まれついている。
我々の力は破壊のためだ。
滅ぼした者から戦の栄光を刈り取るのだ。
それだけが我々に必要な糧なのだ!

だが何年も前に、力と怒りにおいてオークの中でも抜きんでたトラグというオークが、我が民に構想をもたらした。
大いなる都を作るのだと彼は言った。
さすれば世界中が恐怖し、敬意を抱くだろうと。

確かに恐怖はもたらしたが、決して尊敬はされなかった。
たとえ彼の築いた都がどれほど巨大でも。

彼らは岩の中に街を築いた。まばゆい宝石のような都を。
それがオルシニウムだ。
確かに偉大な都ではあったが、オークは街で暮らすように生まれついていない。
防衛のために作られた壁は我々を閉じ込めただけだった。
三重の門は我々を封じ込めた。
街はトラグの野望の墓標となり、オークの夢の墓標ともなった。
やがてレッドガードとブレトンが街を滅ぼしにやってきた。

我々が逃げたのは戦を恐れたからではない。
我々が脱出したのは敵と戦うためだった。
そして敵軍を滅ぼし、その国土を滅ぼした。
奴らのロスガーの所領は我々の行軍に震え、我々の足音に大地は揺れた。

ああ、栄光よ! ああ、喜びよ!
再びオークとなれるとは! 自由に旅をするのだ!

しかし勢いは長続きしなかった。
敵が集結させた軍勢は我が軍をはるかに上回っていた。
そして我々は山の麓へと追い詰められた。
永久に氷で閉ざされた平原へと。
機械仕掛けの悪魔に守られ、我らはぬくもりと住居、防衛策を見出した。
いつの日か我らは、輝かしく牙を剥き出したマラキャスの笑みの下、雄々しく身を現し、勝利へと向かうのだ。

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