書籍

カルダラの発掘

(弟子により編纂されたムハイ・アトトゥーラの覚え書き)

私の業績中で最も人々の記憶に刻まれているであろう発見が、まだ見習いだったときに全くの偶然で見つけた、いわゆるカルダラの遺跡だということは自分にとって皮肉でも何でもない。

私はその年(第二紀101年)を人里離れたドラゴンテール山脈の山麓で小さなギルドとともに過ごした。
その一団をギルドと呼ぶのは、他に適当な言葉が見当たらないからだ。
彼らは、まるで修道会の司祭のような暮らしをしていた。
全てを分かち合い、一日の大半を本に顔を埋めて過ごしていた。

だが彼らを司祭と呼ぶことは、ある意味、敬虔であるということを漂わせてしまうような気がする。
彼は敬虔ではなかった。
私たちは夜更かしし、酒を飲んでは猥談をした。
修道会の年長メンバーまで加わっていたくらいだ。

しかしギルドも、彼らを的確に言い当てた言葉ではない。
その言葉は、一様であることを意味するが、タムリエル中から集まった男性、女性は様々であり、若者から年寄り、教養のあるものから頭の鈍い者までごちゃ混ぜの寄せ集め集団だった。
彼らは絶え間なく言い争っていた。
だが非常に仲は良さそうで、お互いを名前で呼ぶと、次の瞬間には笑い合っていた。
彼らは、修道会の呼び方についても意見が違っていた。
年配のメンバーは、大仰で古めかしい「神聖な活動と先触れを見し者の貴修道会」という名前を推していたが、若いメンバーは「星読み」という簡潔で示唆に富んだ名前を好んでいた。

集団は1つの関心事によって団結していた。
彼らは皆、星と行動の意義についての研究に没頭していたのだ。
見習い期間中のその年に彼らと過ごした訳はそこにある。
私自身も天に魅力を感じていた。
彼らの広い知識からできるだけ多くの恩恵を受け、魔法の特性に対する星の関係についての自分の調査を進めたいと願っていた。

私はここで白状しなくてはいけない。
「星読み」と過ごした日々は、まだ若かりし頃の私の目を大いに覚ましてくれた。
最初の数ヶ月が過ぎた後、私は重い鬱状態に陥った。
魔法と星座の関係についての自分の興味が一つ残らず完結したかのように、既にすっかり調査されていたと気が付いたからだ。
私のような見習いは、既に書かれたものを読んで一生を過ごし、結局、たった一語すら自分の言葉を残せないということがありうる

しかしながら、さらに自身の研究に時間を費やし、「星読み」とともに過ごしていうるうちに、星それ自体について答えを出さなくてはならない問いが多いことが分かった。
私たちは魔法の仕組みを理解しているのに、天そのものの仕組みをほとんど知らない。
実際のところ、一見、その問いが平凡に見えれば見えるほど、その答えはスルリと逃げていく可能性が高いのだ。

あらゆる疑問には答えが出ており、希望は失われたと思ったちょうどその時に多くの問いがあふれ出し、再び元気が出てきた。
一つ一つの疑問は、これまでのものよりも驚きに満ちていた。
実際、偉大な学者たちは、魔法の理論にあれだけの知識をもたらしたにもかかわらず、答えることができなかった。
ムンダス・ストーンがいかにしてそうなったのか、もしくは季節も知らずに、どんな仕掛けで大蛇座が空を横切るのかを。

それどころか、ほどなくして気が付いたのだが、偉大な3人の学者のうち誰一人としてクラグローンに足を踏み入れたことすらなかったのだ。
かつてネードが星を崇拝し、ムンダス・ストーンを自分たちの基盤に据えた場所を、どうしてないがしろにできようか?
私には決して理解できないだろう。

カルダラを発見できたのは、この事実のおかげだ。
現地調査を通して新たな結論に達したいという思いに元気づけられた私は、熱意ある仲間が砂漠に案内してくれることを切望した。
大公座と淑女座、駿馬座のムンダス・ストーンを研究し、さらに新たなものを発見したいと思っていたのだ。

カルダラに関する本には、史実を飾りたてて話を面白くしているものもあり、いい気分になる。
そのような本によると、その戦士座の守護にあるムンダス・ストーンを調査することで、その位置から、戦士座と関連した別のムンダス・ストーンがその3つのストーンの近くにあるはずだという推測に至ったという。

これは事実とは全くかけ離れている。
砂漠を旅している間、私は健康を維持するために大量の水を飲んだ。
当然、その水はどこかへ行かなくてはならない。
私は失礼して、少し道を外れ、用を足した。
ところが仲間のところへ戻る途中で、方向が分からなくなってしまった。
そして必死で道を探していると、浮き石が足元で動いた。
私は後ずさりし、自分の足元でパックリと開いた裂け目に落ちないようにした。
それが、カルダラの入口だったのだ。

当然ながら、連れは言葉に言い表せないほど大喜びした。
カルダラの発見に関して広まっているいくつかのデマは彼らのおかげだと思う。
事実、砂漠に私を案内したいというあの日の彼らの熱意なくして、発見はあり得なかったのだから。

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