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書籍

狩人の真実、パート1

セリエルは高く生い茂った草に頭を低くしてゆっくりと広大な林を移動した。林を見てマラバル・トールの絶壁を登ったときのことを思い出した。密林の一帯からは、広々した空を見ることができなかった。双子の月と星に思いをはせた者達が最高峰の絶壁で見たのは、避難所の上のみだった。

彼女は林の外れで雄ジカに気づいた。イチジクとベリーを食べていた。彼女が見た中では一番長い枝角を生やしていた。

セリエルは矢を準備した。弓を引いて矢をつがえた。息を殺し、3つ数えて矢を放つ。そして彼女は弓を射た。

雄ジカは肝を冷やした。弓は音を立てて大気を進み、最も高い草の葉を切り裂いた。雄ジカは駆け出した。雄ジカが草を食べていた背後の木に矢が突き刺さった。

セリエルは林へ駆け出した。獲物の姿を見失ってしまったが、小鼻は真っ赤になっていた。つんとする臭いが近くの断崖から漂ってきた。

セリエルは崖へ向かい、登り始めた。

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