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書籍

製法の由来

あることで私は悩み続けている、ただこの情報を、わざわざ主人達と共有するつもりはない。他の誰にも言うつもりもない。この調合薬の本当の起源のことだ。あまりにも難解で鮮やかであるため、偉大な錬金術師でも作成は難しかったようだ。とはいえ、十分な時間と資源さえあれば、私でも似たようなものは作れるだろう、だが私のやり方、私の言葉が絶対に正しい… とは言い切れない。その点については自分でも認める。

私は答えを見つけた。それは祠の中心からずっと私を見ていたのだ。クラヴィカス・ヴァイル。取引の創造者、願望の授与者、そして絶対に貸しを作りたくない相手だ。

この遺跡は、私達が見つけたように、以前何者かによって発見されたことがあるようだ。彼らがヴァシール・ディダナット鉱山の前の持ち主なのだろう。これは巧みに隠されている事実だが、この鉱山にはそれほど鉱石がない。この鉱山を動かしても、ようやく採算が取れる程度にしか黒檀が出てこない。私達の前にいたエルフは次第に困窮していった。そして彼らはヴァイルに呼び出された。

あまりにも知識と先見の明が欠けていたために、彼らは無尽蔵な黒檀の鉱脈を求めた。デイドラと取引する時には、慎重に言葉を選ぶ必要がある。といってもこの場合は、取引自体をするべきではなかったのかもしれない。とにかく、何らかの契約が結ばれ、調合薬は彼らのものになった。数世紀前に遡れる立像がここにあるということは、彼らは作成に成功したのだろう。だがその作業の進捗状況や使用方法については、奇妙なくらいほとんど記録に残されていない。

実のところ、この事実を知ったことで私は少し不安を感じている。時々、クラヴィカス・ヴァイル像の囁きや、静かに笑う声が聞こえてくるような気がするのだ。だが彼と取引はしていない。私はこの結果を調査しているにすぎない。私は彼に支配されてはいない。

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