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書籍

ピャンドニアのマオマー

第543項 地誌 帝国地理学会

かつてピャンドニアのマオマーは本来サマーセット諸島からの亡命者であると信じられていたが、おそらく類似したアルドマーの先祖に由来していることから、彼らがサマーセットから来たのでないことは確かである。水晶の塔にあるつづれ織りの訳書には、それよりもはるか昔に分離したという話が語られている。マオマーはサマーセットではなく、アルドマーの元々の祖国から分化したと推測される。

伝説によれば、彼らの指導者オルグヌムは自称「王」で、その富を利用して反乱に出資するような、並外れて裕福なアルドマーの貴族であった。このため彼とその従者はアルドマーから隔離され、深い霧の近く、「霧に覆われた島」ピャンドニアへと追放された。この追放は、オルグヌムの従者が、彼らの元同胞を二度と妨害しないことを効果的に示すこととなった。しかし、アルドマーの新故郷であるサマーセットは、それほど幸運ではなかった。

マオマーはサマーセットの歴史の大半において、旧エルノフェイにいる彼らの従兄弟に対して攻撃を開始してきた。これらの戦いはすべてオルグヌムが率いてきたもので、彼は不死身なだけでなく、世紀ごとに若返るようだ。地理学会の関係者が知るかぎりでは、これまでサマーセットに対する戦争や戦略の回数を数えた歴史家はいないが、どれほど巧妙なものであっても、すべて最終的に失敗であったことがどういうわけか証明されている。

ピャンドニアの実際の景観の片鱗を唯一示す、特筆すべき攻撃が具体的に一つある。第二紀486年の年、マオマーの小艦隊がアリノール沿岸沖で確認されたので、ヒデリス王は海軍に追跡するよう命令した。海軍は、海図にない海を抜け、奇襲のためにピャンドニア近くまで船団の後を追った。アルトマー海軍のほとんどが破滅したが、一隻の軍艦がサマーセットに戻り、その地を「海のジャングル」と表現した。海の流域周辺の迷宮から、大高原にあふれる草木。マオマーの船以外すべてに巻き付くケルプの罠の巻きひげ。それはオルグヌムの護衛であり、時に乗り物であるシーサーペントのためのよくカモフラージュされた家の役割を果たしている。大地は霧の嵐であふれ、先の視界を混乱させる。そのたった一隻の船による到着でさえ、アルトマーが海において天才であることを証明している。

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