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書籍

マブリガシュの試練

愛しきファリ、

君は旅の途中で出会った変わった人々や場所の話を聞くのが好きだったね。モーンホールドを去った後、おかしなダークエルフに出会ったよ。彼の振る舞いは他のダークエルフよりはいくらかは打ち解けたものだったけど、それでもどこか人を信用できない雰囲気をまとっていた。野営地でワインとパンを申し出ると、少しの時間を共にするくらいにはありがたく思っているようだった。

自分のことを「マブリガシュ」だと言ったので、アッシュランダー・クランの分派か何かだと思ったが、ヴァーデンフェルからこんなに南まではるばるやって来るクランがいるとは知らなかった。彼の旅について尋ねると、目的地は決めていないということだった。ただ谷には戻れないと言っていた。

理由を尋ねると、谷が故郷だと教えてくれた。その奇妙な場所で彼のクランが蛇と亡霊を守っていると言っていた。そのお返しとして「ゴーストスネーク」がクランを見守ってくれていると。2人でワインを数本空けていたので、ここまで話したところで彼は少し酔い始めていたが、ゴーストスネークは実在すると断言していた。谷を去った理由を尋ねた。彼はしばらく黙っていた。その後ようやく、試練に失敗したからだとつぶやいた。どういうことか尋ねると、怖気づいて道を歩くことができなかったから逃げたのだと言った。「もう2度と戻れない」彼はそう言った。「家族の面目をつぶしクランの名誉を汚してしまった」

はらはらと泣き始めたので私は荷作りに忙しいふりをしたが、1分後にもう彼はいびきをかいていた。かわいそうなやつだ。太古の儀式や部族の儀式というものには明らかにおかしいものもある。朝にテントを畳む時、故郷に帰るよう励ましてやるつもりだった。しかし明け方に目を覚ました時には、彼はもういなくなっていた。

相変わらず君がいなくて寂しい。また数日中に手紙を書くよ。

――ソーゴ

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