スポンサーリンク
書籍

ファゾムズ・ドリフトの伝説

アイベアの魔導師ナエルーナ著

沿岸の商人にせよ、島々を飛びまわる者にせよ、海賊にせよ、船乗りは基本的に迷信深い。彼らは海に出るたび、混沌とした未知の中に飛び込んでいく。吉兆を求めて空を見、球電を探して嵐を見る。鵜のうちに死んだ恋人の霊魂を見るのだ。船乗りはアホウドリを殺さない。船員全体が呪われてしまう。彼らは自らの霊魂を守るため、多種多様なアミュレットや魔除け、呪文の結び目を持ち運ぶ。船乗りは出航前に風の女神キナレスへ生贄を捧げ、ハルムス・モラと呼ぶハルメアス・モラのことを低い、畏れに満ちた声で話す。

ハルムス・モラは多くの名で知られている。運命のデイドラ公、人間の庭師、不可避の知者などである。北方の民やウッドエルフは森の男と呼ぶ。ハイエルフにはハイルマ・モラという名で知られている。カジートの間では波の王と呼ばれる。そして船乗りはハルムス・モラと呼び、不可知の海をモラの領域と見なしている。海は深く、我々はその表面しか知らない。知識と秘密自体にも似て、海の力はその深淵に眠るのである。

ハルムス・モラをより強力な力の欠片、あるいはより大きな謎の一面と呼ぶかどうかはともかく、船乗りたちはモラの名にかけて誓うが、モラの名を罵りもする。モラは隠された浅瀬や渦、突然のスコールのデイドラ公なのである。モラは自らの領域に挑み、その知識を解き放とうとするすべての者に試練を与える。モラに関係する伝説のうちおそらく最大のものは、モラが海から手に入れた宝を難破船の墓場に隠した場所とされる、ファゾムズ・ドリフトの伝説だろう。

船が跡形もなく消滅する時、それはハルムス・モラの意志だと言われている。そうした不運な船は予兆を無視した乗組員や、禁じられた貨物が積まれた船倉、あるいはハルムス・モラの力を軽んじ、挑発した船長を抱えている。こうした船は海に飲み込まれ、大渦に巻き込まれ、また重い波に転覆させられ、すべての人員を抱えたまま遭難する。彼らは海の底に引きずり込まれ、波の王の手に包まれて、最終的にファゾムズ・ドリフトの伝説の海辺に流れ着く。

なぜ波の霊魂、深淵の監視者はこのような戦利品を集めるのだろうか? なぜモラは船体を忘れ去られた海辺で朽ち果てさせ、乗組員を異界の空の下にある無人の浜辺で永遠にさまよわせるのか? 誰にわかるだろう? 波の王の思考や気まぐれを理解できる者など存在するだろうか? それに、このような問いに誰が答えようとするだろうか?

コメント

スポンサーリンク