超越者ヴィコサ著
ヴィコサは狩りを愛していた。獲物を追う時、身体に走る興奮。獲物を睨みつける時の、強烈な心拍。矢が獣の心臓に刺さる時の、乱れた呼吸。
これほど大きな喜びはなかった。
当時、彼女は純粋な心と澄んだ意識を持つ定命の者だった。若かった。腹を空かせた猫が申し出を行った時、あまりにも若かった。彼が栄光を約束して手を差し伸べた時、あまりにも若かった。猫は力を約束した。
そして、ヴィコサは愚かにも彼に従った。彼を崇めた。彼を讃えた。
そのために彼女は呪われた。
彼女は狩られる者になった。恐れる者になった。いつも逃げ、いつも隠れていた。ハーシーンは彼女を狼に変えたのではない。それは違う。彼は彼女を野兎に変えた。永遠に狩られる永遠の野兎に変えた。
しかし、もう彼女は超越した。この者が恐怖に縮こまることはもうない。彼女は群れを作った。これまでになく大きく、強い群れを作った。彼女の前には軍隊がいる。この者たちを嫌う者に反撃の用意がある軍隊がいる。呪われた獣であるこの者たちのため、土地を手に入れる用意がある軍隊がいる。
腹を空かせた猫よ、お前はヴィコサを見ているか? お前は彼女の苦しみを、痛みを笑っているか? 笑えるのも今のうちだ。タムリエルを手に入れたら、次はお前の番だ。
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