クラヴィデスが背もたれの高い長椅子を動かすと、鎧の基部から据え付けられた大きな盾が見えた。
クラヴィデス: 持っているね。あなたがあの長椅子で覆ったのだ。
アナーラ: わざとやったのではありません! 掃除をしていただけです! 毎日あの鎧を見ていますが、ああ、神よ、誓ってその盾に気付いたことはありません!
クラヴィデス: もうよいアナーラ、信じるよ。
クラヴィデスが盾を押すと、それは後退して下への地下道をあらわにした。
クラヴィデス: セデゥーラ・ケナ・テルヴァンニ・ホルダルフ・ジールには秘密の通路が必要なようだな。松明を持ってきてくれるか?
アナーラ: ああ、恐ろしい、そんなのは見たことがありません!
アナーラは壁から松明を外し、クラヴィデスに手渡す。クラヴィデスは地下道へと入って行く。
クラヴィデス: ここで待つように。
アナーラはクラヴィデスが地下道へと消えて行くのを見守る。彼女は動揺しているように見え、ついには正面扉へと走っていく。扉を開けると、入口には帝国軍の衛兵副隊長であるアルゴニアンのユリスが立っていた。彼女は叫ぶ。
ユリス: 驚かせて申し訳ありません。
アナーラ: 今は駄目! どこかへ行って!
ユリス: お嬢さん、隊長はそれをあまり快くは思わないと思います。
アナーラ: あなたは… 隊長殿と一緒ですか? ああ、よかった。
クラヴィデスは顔面蒼白で地下通路から出てくる。話すまでしばらく時間がかかる。
ユリス: 隊長? 下には何が?
クラヴィデス(アナーラへ向かって): あなたのご主人が死霊術師であることを知っていたか? 地下室が死体で溢れていることも?
アナーラは気を失う。ユリスが彼女を長椅子まで運び、横たえる。
ユリス: 隊長、見せてください。
クラヴィデス: 慌てなくてもすぐに見られるさ。死体を運び出すには駐屯地にいる全兵士が必要だ。ユリス、私はたくさんの戦闘を見てきたが、こんなのは見たことがない。2体として同じものがない。カジート、スロード、ダンマー、シロディール、ブレトン、ノルドたちが、生きたまま焼かれ、毒を飲まされ、感電させられ、溶かされ、バラバラにされ、内蔵を出され、切り刻まれた上で縫い合わされているんだよ。
ユリス: それが、脱出したアッシュランダーの身に起きたというのですか?
クラヴィデス: 分からない。なぜこのようなことをするのだ、ユリス?
扉を叩く音。クラヴィデスが出る。若いアルゴニアン女性のゾラッサが小包と手紙を携えて立っている。
ゾラッサ: おはようございます、あなたはジール卿ではありませんね?
クラヴィデス: 違う。それは何だ。
ゾラッサ: 閣下に配達するはずの小包と手紙です。閣下はすぐ戻りますか?
クラヴィデス: いや、戻らないだろう。差出人は誰だ?
ゾラッサ: 大学にいる私の講師、ケマ・ワーヴィムです。彼は足が不自由なので、これらを閣下に届けるよう言われました。正直に言いますと、本当は昨夜届けるはずだったのですが、忙しくて。
ユリス: おはよう、姉妹よ。我々が小包を閣下に渡しましょう。
ゾラッサ: ごきげんよう、兄弟よ。りりしきアルゴニアンがスキャス・アヌドにいるとは聞いていました。残念ながら、小包は閣下の手に直接届けると、ケマ・ワーヴィムに約束してしまいましたので。もう遅れていますし、置いて行くわけ…
クラヴィデス: お嬢さん、我々は帝国軍の衛兵だ。私たちがその小包と手紙を預かる。
ゾラッサは渋々とクラヴィデスに手紙と小包を渡す。帰るために逆を向く。
ユリス: もしからしたらお話を伺うかもしれませんが、大学にいますか?
ゾラッサ: はい。お元気で、兄弟よ。
ユリス: 良い夜を、姉妹よ。
ゾラッサが退場するなか、クラヴィデスが小包を開ける。何枚ものバラ紙が挟まった本である。
クラヴィデス: どうやら紛失していた本を見つけたようだ。我々のこの手に届けられるとはな。
クラヴィデスがその本を黙読し始める。
ユリス(満足そうに、自分に話しかける): スキャス・アヌドにアルゴニアンがもう1人。しかも可愛い。彼女に対してあまり無礼でなかったならいいのだけれど。もうツルツルとした乾き肌の女性はうんざりだ。非番の時に会えたら最高なのだが。
ユリスは自分に話しかけながら、手紙の封を切り読む。
ユリス(続く): 彼女は私と同様、南からのようだ。北ブラック・マーシュからのアルゴニアンは… その… アレだ…
ユリスは読み続け、その手紙に立ちすくむ。クラヴィデスは本の最後へと飛ばし、最終章を読む。
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