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書籍

フェッチャーフライの炎

ザビアー・コ著

私ザビアー・コは、魔術師ギルドの愚か者のために獣の研究をしている。信じられようか? ヴィベク・シティ行きの船に乗った出稼ぎ労働者たちに、腐りかけの砂糖漬けニクサドを売って儲けていたこの者が、獣の研究をするとは。フン! とにかくあの愚か者どもが金を払って物語を書くよう頼んできた。この者は受け取って、それ以上は何も聞かなかった。

ザブザグの腹を新鮮な葉で満たし、バルモラの宿屋〈ランディネッチ〉で一晩過ごした後、この者はヴァーデンフェルの湿地帯を探索するために荷造りをした。二晩の間、出会ったものと言えばただの這い回る害虫だけだった。なんという災難だろう! 他の物語なら、窮地に陥れば必ず発見があったというのに。誰がわざわざ害虫に出会いたいのか? 私ザビアー・コがギルドから金を受け取ったのは間違いだったのかもしれない。

災難にもがいていると、ある臭いがこの者の注意を引いた。大きな光る羽を持った巨大なハエが、この者の頭の横で羽音を立てていたのだ。ダークエルフが「フェッチャーフライ」と呼んでいるハエだ。ただの害虫に見えるが、騙されてはいけない! そのハエが腕に止まった時、煙が上がった。毛皮が焦げていたのだ。

他に選択肢はなかった。獣を追いかけて物語を書き上げ、金を手に入れないといけない。その獣の後を追って巣までたどり着くと、オーク2匹分(オークに聞けば1匹だと言うかもしれない)はあろうかという、巨大な岩があった。数千匹の燃えるハエが周りを飛んでいる岩は熱を帯びて発光し、そこに開いたいくつもの小さな穴は煙と生命を放出していた。突然、巣全体が動いた。その巣が立ち上がった時、自分がどれほど間違っていたか思い知った。それは少なくとも、オーク3匹分の大きさがあったのだ。

その岩の獣とハエがゆっくりとこちらに近づいてきたので、私は汚い泥の中にまっすぐ飛び込んだ。この者は猛獣殺しではないのだ! どうして私をいじめるのか? 煙を上げる虫の群れが飛び回り、羽音を立てながら濡れた毛皮にとまった。哀れなザブザグは悲鳴を上げて逃げ去った。ザビアー・コは泥に顔をつけたまま最期を迎えると覚悟した。

だがもちろん、そうではなかった。そのハイブゴーレムは、この者がもはや脅威ではないと判断したのだろう。雪のトリュフで満腹になったエチャテレのように、ゆっくりと立ち去った。この者は手土産をたくさん持って宿屋へと戻った。語るべき物語、焦げ穴だらけの服、泥まみれになった毛皮を携えて。

もしヴァーデンフェルの荒野に行くことがあれば、あなたもこの者と同じように疑問を抱くだろう。フェッチャーフライという名前はダークエルフが不快だと思ったからそう名付けたのか、あるいは逆にこの害虫から「フェッチャー」という単語が生まれたのだろうかと。

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