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書籍

王冠を戴いたドラゴン

オーギュサン・コロヴェル著

ブラック・ドレイク、ダーコラク陛下の聖人伝作家として、陛下の輝かしき統治の最初の年に依頼を受託した

世界を変えた男について、何を言うべきだろうか? 彼は数え切れぬほどの民を、自らの頽廃に溺れていた社会の暗闇と、罪深き怠惰から救い出した。錯覚と幻滅に落ち込むあまり正義を忘れた人々の富で私腹を肥やす、腐敗した支配層に戦いを挑んだのである。シロディールの救世主、ブラック・ドレイクのダーコラクについて何を言うべきだろうか? 久しく望まれ、彼によってもたらされた過ちの清算と矯正がなければ、私たちはどうなっていただろう? おお、シロディールよ、首を垂れて自由に感謝するがいい。新たな時代の誕生は近い!

ダーコラクの物語は、北方の開けた荒野と雪深い山脈で始まる。我らが皇帝が生を受けた夜には巨大な流星が空を横切り、彼がこの世界に現れた時間には、母親の慎ましき家屋の上を、銀色に輝く無数の白鳥が飛び交った。赤子を抱きかかえた者は全て、彼の若き顔の強烈なまでの美しさに衝撃を受けた。その目はあまりに黒く勇猛で、偉大なる戦士たちもその眼差しには目を背けてしまうほどであった。

我らが未来の皇帝がその偉大さに相応しい王宮ではなく、むしろ最も質素で過酷な環境の中で育てられたことは言っておかねばならない。リーチの偉大なる荒野は数多くの試練と危険が住まう場所だが、そうした苦難も少年皇帝を最も早い時期から鍛え上げ、勇気や名誉、忍耐や知恵の価値を学ばせるのに役立つばかりであった。3歳の時、若きダーコラクは母の命を救うため父が狩りに使う槍を手に取り、すでに20人の男を食い殺していた黒い大熊を無慈悲な一撃で葬り去った。そしてたったの5歳で、ダーコラクは寒く厳しい冬にカースワステンからドルアダッチ山脈の頂上まで連なるヘラジカ100頭の群れを狩り、村を飢えから救った。

2本の足で歩き始めた時から狩りに万能の腕を示したダーコラクは、遠からず知恵をも身に着けた。ダーコラクは鷹から、風に乗って運ばれてくる遠い国の知らせを聞く術を、そしてたったの一瞥で人間の心を見透かす術を教わった。彼は山の頂上から流れ落ちる冷たく速い小川の流れを見て素晴らしい音楽を身に着け、その歌声を聞いた者は二度と、他の音楽に喜びを見いだすことができなくなるほどだった。そして彼は大きな灰色の狼たちから勇気と忠誠心、上に立つ者の心得を学んだ。

過酷な故郷の地にあって、若きダーコラクはそのうち、戦の技を極める必要があることを知った。7歳の誕生日の折、樹齢100年の木ほども背丈のある巨人の部族によって、ダーコラクの民が羊毛を保管していた平和な牧草地が襲撃されたのである…

〔手記の残りの部分は焼け焦げていて読めない〕

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