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書籍

壊れたジンチェイ・コヌ

黒き棘が崩れた監獄を覆い
根の獣が門の側に潜む
太陽は獣に喰われ、もはや輝かぬ

その枝から離れた実は
苔むした石の上に落ちた
実は東を見る、海へ向かって

淀んだ沼の奥深く
積まれた石に生える芽一つ
捨てられた巣、入るものもなし

沈没船の葦は腐れ落ち
北へ向かい、通り過ぎる交易船が
ヒストの若木に影を投げかける

虚ろなこだまの中、轟く根の向こう
成熟せしヒストは佇む
風の吹きすさぶ洞窟の奥深くに

海と沼が出会う場所、崖の縁の下
黒に覆われたインペリアルの石の陰
冷たい水の中に、年老いたヒストは座る

ヒストなき街の外れ
卵の籠はうずくまる、石造りの巣に
肌の乾いた、定まらぬ手が築いたもの

石の蛇は石の卵を守る
過去の愚行の二柱の間
西には、ハジ・モタが潜む

枯れゆく根の地下室にて
高くそびえる石の背後に
トカゲは座り、待っている

死の水から北
沼の端には根が潜む
その腹の中には、歩くトカゲ

虚無の口の下で
歩く根は我らの一族を飲んだ
轟音を立てる滝の下で

死の最後の季節は
根の最後の敵の内に横たわる
ささやく根が聞こえるほどに近く

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