グウィリム大学歴史学者、ヴァレンカ・アルヴィーナ著
第一紀2820年、ブッコ将軍の第四軍団は完全に崩壊していた。
残存する数少ない兵士たちはまともに戦える状態になかった。
暴動まがいの事態でブッコの指揮権が脅かされるに至ってようやく、彼は残った兵士たちに退却と、マーシュ内陸部からの脱出を命じた。
彼は帝国軍が沼を去れば、アルゴニアンも追っては来ないだろうと判断した。
10日間の厳しい退却の後、帝国軍の残存兵たちは「ジ・ツェイ」と呼ばれる古代アルゴニアンのピラミッド周辺に集まった。
軍はこの時点でもはや350人程度にまで減少していた。
ブッコはピラミッドの陰で短い休息を取ったら、残存勢力は比較的安全なシロディールまで退却できるだろうと考えていた。
その望みが果たされることはなかった。
第一紀2820年収穫の月14日、ブッコの誇った第四軍団の残存兵たちは全滅したのである。
ジ・ツェイの虐殺の詳細は歴史コミュニティにおいて議論の多い問題である。
ブッコの残存勢力が大規模なアルゴニアン軍団によって撃破されたことについては広く合意されているが、この結論を支える証拠には一貫性がないと言わざるを得ない。
ピラミッド周辺の考古学的発掘調査では数百の死体と放棄された武具が見つかったが、帝国軍の遺体が少なくとも100体は未発見のままだ。
これは当然、この兵士たちに何があったのかという問いを導く。
彼らがシロディールに辿りつけたことを示す証拠は何もないため、捕虜として連行された可能性もある。
だが既知の戦場の野営地の発掘からは、帝国軍捕虜のいかなる証拠も発見されていない。
これもまた、この紛争中に発生した謎の失踪事件の一つである。
アルゴニアンはこれ以上のことを知っているかもしれないが、歴史家に情報提供を申し出た者はこれまでに誰もいない。
ブラック・マーシュでの大敗によって、帝国議会はこれ以上の屈辱を許容できなくなった。
他の敵対勢力はブラック・マーシュを見て、かつては恐れられた帝国軍が弱体化したと見て気勢を上げた。
議会は対抗措置として、第四軍団をレグルス・サルデカス将軍の指揮の下に再編成し、第二次ブラックウォーター戦役を開始した。
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