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書籍

黒い年

ウカエザイが最初に任務に飽きて、疑いを持たないエルフから気晴らしを得るようになったのがいつなのかは分からない。つかの間の気まぐれから発展した結果だったのかも知れない。もしそうだったとしても、主人達には気付かれなかった。

モンスーンの季節に、ストリッド川が満ちてグラーのカシでさえもが根元の土を失うまいとする時に、保管庫の主人と助手の半数が、聖骨箱へ続く強大な扉を開いた。

腰のフラスコを手に取って一気に飲み、彼らは戸口で石と化した。開かれた扉はその石化した姿に支えられ、雨の流入を防ぐものは何一つなかった。8ヶ月間にわたって風雨にさらされて、最も状態の良い書物でさえ、紙だらけの水たまりに漬かってユリのような姿になっていた。

任務を放棄した理由について聞かれると、ウカエザイは笑って我々を愚か者だと切り捨てた。

罰として、我々は彼女から肉体を奪った。これでもう、熱中できるような知識が詰まった広間を自由に歩くことはできなくなる。アヌマリルの心臓によって、最も奥深くの地下室に縛りつけたため、彼女はただ観察し、聞き、奉仕することで満足するしかないのだ。

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