船大工の後悔

きっと無事だ… キャスカはすぐ戻って来るさ…

な… 意地悪な霊魂め！ ザジはそう簡単に… あ！ はあ、何だ。亡霊じゃないのか…

ザジは船長にとってもっとも魅力的なお宝を求めて来たんだ！ タムリエル史上最も偉大な艦隊、全旗海軍のために、最高に優れた船大工が描いた設計図だ！

言うな言うな！ そんな不吉なことを言ったら現実になるだろ！ いいか、ザジはこの伝説の造船所を探して、ハイロック中の海岸を駆けずり回ったんだ。ザジが欲するものはここにある。この髭にビンビン感じるんだ。狩りで稼いだ金すべてを賭けたっていい！

では、造船所をもう一度見に行ってみよう。一等航海士とこっそり行った時は、死者を怒らせるのが怖くてよく見られなかったからな。だが彼らはとっくに目覚めているんだ。どうせなら徹底的にやろう！

時の流れの中で失われた、船を武装させる技術だよ！ ザジはその技術を記した設計図や改装計画が残されてるんじゃないかって睨んでる。海路交易をしていたんだ、大切なものは風雨に曝されないようにしていたはずだってね

ザジが聞いた話じゃ、あの水浸しの造船所は昔、ありきたりの船舶を集めて武装させ、広い海でも最速最強の艦隊に作り替えたそうだ！ ってことはだぞ？ いい船を改装させれば無敵の船になるんじゃないか？ そしてザジは、いい船を持っている…

実は、一等航海士のキャスカと一緒に来たんだが、古い製材所で怪物に奇襲されてな。このスープみたいな霧の中で離れ離れになってしまったんだ！

キャスカが見つけてくれるのをおとなしく待っていたところでお前が来たってわけだ。これでもう待つ必要はないな！

船大工の後悔には数多くの伝説がある。ザジのお気に入りは、あまりにも大きな船を作ったせいで、海に放り込んだら波で造船所が沈んだって話だ。しかし、ザジが一番関心があるのは、第一紀の物語だ

タムリエル史上最大の艦隊がスロードとの戦争へ向かったんだ。すべての地域の船と海軍が集まって、連合艦隊を作ったんだよ！

ザジはその強大な船がすべて、ハイロック最大の造船所で改装され、武装されたという噂を聞いたんだ

ああ、そうだと思う。少なくとも、他に可能性のある造船所は全て調べた。もちろん、最も危険だろう。だが、危険がなければ成功はない！

ザジは見張ってるぞ！ 高い所から

見渡す限り、悪党とねばついたスライムだらけだ。油断するな！

ヤッホー！ こりゃいい！ 雨と粘液で何もかもよく滑るぞ！

ザジのような鋭い爪があれば問題ない。実はこれ、結構楽しいぞ

残念だが、探しているものはまだない。探索を続けよう！

おーい！ そっちの様子はどうだ？

• 柔らかい紙を掘り進むよりずっと楽しそうだな。ザジは、お前のことが少し羨ましいよ
• そっちの臭いは、こっちくらい酷いか？ どうせもっと悪いんだろう！

ああ、忙しそうだな。ザジは先に行っているぞ！

木材置き場が近いぞ！ ザジは先で待つ！

抜けたか！ 大したことなかったな

仕事を探しに来たんだろう… 遅刻は許さんぞ

あ… 足がつった！ お前は順調なようだな。ザジは… あっちを探そう。安全そう… じゃない、怪しそうなところをな！

こっちに設計図はなかった！ おっ、亡霊を倒したのか！ いいぞ！

ああ、つった足がようやくよくなったみたいだ。すぐに行くぞ！

この先にある伐採キャンプは危険だ。気をつけてくれ。お前を失いたくない。キャスカのように

気を付けてくれよ。ザジとキャスカが前に来た時、森はとても静かだった。しかし、古い製材所にたどり着くと、木が意志を持ったかのように飛び出し襲ってきたんだ！

ああそうだ、そう言った。まるで爪研ぎに使われた仲間たちの復讐のために、カジートを狙っているかのようだったよ！ あの木々には小枝のように細い恐ろしい爪が付いていた。ザジの身体であの爪を研ぐのだけは勘弁してほしいね

最後に見た時、彼女は遊びたい盛りの子猫みたいに怒り狂った木へ飛び乗っていった。だからザジは、その陽動を最大限生かそうとしたんだ。きっと彼女もそうしてほしいだろうと思ったからな

安全が確保されたらザジに合図してくれるだろうと思っていたんだが…

キャスカを信じろ！ 彼女はあんな茨や枝ごときにやられるタマじゃない。ただ霧の中で迷っているだけさ。合流できたら、船長をまた無事に助けられたと知って安心するだろう！

だいぶ落ち着いたな、これなら――

うわあああ！ キャスカ、ハハハ。ザジはキャスカを見つけたぞ！

あんなに遠くまで逃げるからでしょうが…

ほら、ザジの言った通りだろ？ キャスカなら何の心配もない！ だが、ここからは一等航海士と離れないようにしないとな。ははは…

森に足を踏み入れたその時から、ザジの奴は臆病者の匂いをさせてたよ。もう少し近くにうずくまってくれてれば、もっと早く見つけてやれたのにね

得意の逃げ足で、パウンス号まで泳いで戻ったのかと思ったよ

木の肌をもつ獣とスプリガンだよ。古い製材所の近くでいきなり襲われてね。気が付いたら森の中はあいつらで一杯。でもまあ安心して。奴らは丈夫だけど、爪で引っかき続ければその内死ぬ。他の獣と一緒さ

さて、あいつらの枝をへし折って、宝探しに行く覚悟はある？

あんたは谷を降りて。私は崖の上を調べる！ ザジ、あんたはどいてな

心配するな。ザジは誰にも見られていない！

ザジ！ 首根っこを掴んで連れて行くよ！

あ、ああ… また足がつってきた気がする。こっちの歩きやすい道からついていこう

おや、死んでるみたいだね

製材所を調べて… おお！

また罠だ！ 獣どもは私が抑える。スプリガンを倒して！

ったく、よく育つにもほどがあるよ。ザジ、無事？

ザジは平気だ！ とてもかゆいが、大丈夫！ あと、地図を見つけたぞ！ 森の向こうは明るい、門の向こうで合流しよう！

ザジ、待って！ ああもう、追いかけよう

協力してくれてありがとう。私一人でもあの木の魔女はなんとかなったと思うけど、森全体があたしとザジを狙っているんじゃ無理だった

後は、あいつが見つけた地図で財宝のありかまでたどり着ければ万々歳だね

ザジにはいくつか、信じるに足る才能があってね。財宝の匂いを嗅ぎつける力はその一つ。あいつには散々こき使われてるけど、危険に見合う報酬もあるってことさ

警備の仕事は最悪だ…

シーエルフ？ アチョー！

ザジの財宝を狙って来たに違いない！ 急ごう！

ついてないね。で、どこへ行く？

地図によると、船大工頭の事務室はあの橋のすぐ先だ！

あの強面エルフたちはどうやってザジの狙いを知ったんだ？ 尾行されたとは思えないが…

まあいい！ 設計図を手に入れて脱出さえできれば、そんな細かい話に意味なんてないからな！

そうに決まっている。他に何の用があってこんなぐしょ濡れの遺跡に来るんだ？ 見てみろ、見渡す限り腐りかかった残骸と、崩れかかった石ばかりだぞ。もっとも、あまり遠くは見渡せないがね

古い製材所の地図が正しければな。この数百年の間に、嵐や波で押し流されている可能性もあるが… いやいや、今は疑っている場合じゃない！ 橋を渡って、ザジの… いや、我々の目標を手に入れようじゃないか！

シーエルフとは何回かやり合ったことがあるけど、厄介な連中だよ。情けなんて必要ない、あいつらも情けをかけたりしないからね

おおっ！ まだ大丈夫そうだ！

ザジは屋根から忍び込む！

いてっ！ ザジは太っていると言われたことはないんだが、屋根はそう思ったらしい

荒らされたのは最近みたいだ。設計図はここにあったはずだ… 奪ったのはシーエルフだな！

大量の書類… そうだ、見てくれ。ここが船大工頭の事務室だ！ ザジが探している設計図はここにあったはずだ。シーエルフたちも探しに来たに違いない！

奴らがまだここにいるということは、まだチャンスがあるということ。お宝を持ち逃げされるわけにはいかない！

その度胸、心強いよ。パウンス号にお前みたいな志願者がくればいいんだがな！

古い羊皮紙と紙の匂いがするね… これまでに見てきたカビだらけのゴミとは違う。シーエルフたちが持ち出す前まで、設計図の一部は本当にここに保管されてたのかもしれない

エルフの奴隷が難破船を解体しているのを見たが、何故だ？

灯台のそばだ！ 見ろ！ エルフの船だ！ 逃がすな！

鱗野郎、戻ってきやがれ！ ザジ船長様の正当な持ち物を奪ったな！

ゴミ漁りか！ 磁鉄鉱をドレッドセイル・リーフに持っていけ。俺はあいつらが追ってこられないようにする

やれるものならやってごらん… ん… おおおお！

波を浴びせたくらいで、ザジがお宝を諦めるとでも思ったか！

はっ！ そう簡単に溺れると思ったか！

ああ、死んでる。船も消えたな…

ザジ。彼のポケット

そうだ、この巻物入れに造船所の紋章が付いているんだ！ キャスカ、キスしてやりたい… が、ザジも顔を叩き潰されたくはない

だが待て。あいつらがこれを探していたんじゃないなら、シーエルフが自慢していたのは何だ？ 磁鉄鉱にこれより価値があるはずがないぞ？

あの汚い水を全部肺から吐き出すまで、何週間かかかりそうだね

シーエルフの船長の言葉は聞いただろう？ あいつは設計図を取られたが、我々が取らなかった磁鉄鉱を自慢していた。ここにはザジが思っていたより強力な何かがあったのかもしれない

歩き手よ、そうだな！ ザジが苛つくと雰囲気が悪くなる。手に入れた設計図があれば、パーフェクトパウンス号に偉大な伝説の船の装備を与えてやれる

ザジは最大の感謝を捧げるぞ！ それに、大量のゴールドもな！

新しく生まれ変わったパウンス号を見るのが待ちきれない！ もし望むなら、お前も初航海に連れて行ってやるぞ！

新生パウンス号でシーエルフどもを追い回し、船首をへし折ってバカにしてやるのもいいな… それとあの磁鉄鉱も…

この船大工頭はカジートだったに違いない。見事なものだ！ 例えばこの外装。船を岩石より丈夫にしつつ、突風のように軽く動けるようにしている！

しかし、ザジの旅はまだここで終わりじゃないぞ

この設計を実現できる腕のある船大工と、改装に使う素材を探さないといけない。全旗海軍も、その創設時には大金がかかったんだ！

金のかかる事業だが、ザジのパーフェクトパウンス号にはそれだけの価値がある！

ああ！ もっとも、名前が言及されているだけだったがな。磁鉄鉱に直接関係する設計はなかった。シーエルフが一緒に保管していたんだと思う

磁鉄鉱は方角の決定に関係しているようだが、ただのコンパスとは思えない

ザジは陰謀をかぎつけられる。ドレッドセイルは磁鉄鉱を使って何かを企んでいるはずだ。シーエルフが絡む「何か」は、必ず不吉なことなんだよ。ああいうものは、ザジが手元で保管しておいた方がいい。そう思わないか？

あのシーエルフが魔法で起こした波のおかげで、危うく溺れるところだったよ。ザジは大した被害もなく逃げおおせたみたいだね。泳ぎはあいつの方がうまいみたいだ。本人には言わないけど

ああ、大丈夫、傷ついたのはプライドくらいのもんだ。水から病気でもうつされたんじゃない限りはね。しかし、あのシーエルフめ。怯えたジェルボアみたいに叩きのめしてやるつもりだったけど、殴られて泥を舐めてるのを見て溜飲が下がったよ

それはいずれ分かるさ。でも、ザジならきっとあの設計図の使い道を見つけるだろうし、見つからなければうまいこと金に換えるでしょ。パウンス号を改造しすぎないよう、ザジを抑えないとね。放って置いたらわけの分からないガラクタで埋め尽くされるだろうから

あいつは磁鉄鉱がどうのこうの言ってたけど、ただのコンパスの話じゃない。ザジが見つけた設計図に、その手掛かりがあるかも

あなたは働く。昼も夜も、私が弱っていく間も

一緒にいて。一晩だけでいい… 寂しくて仕方ないの

切れ切れ 木を切れ あの海へ向け…

切るのが仕事 ボスの足ごと…

こっち

ここから降りられる。右へ

港に突っ込んだ船の話は聞いたか？ 誰も乗っていなかったんだ

ああ、甲板は雷で焦げ跡だらけだった

デイゴンが引き起こした嵐だ！

見張り台に行き、嵐を避けられる場所を探せと言っただろう！

船長、雷が――

命令だ！ 行かなければ、船から投げ捨てるぞ！