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書籍

海の巨人の捕食

ヴァーセント・アードレイ著

危険多き北の海でも、海の巨人ほど船乗りに恐れられている謎はほとんどない。伝説の生物と言われるほど希少であるにもかかわらず、海の巨人は第一紀からノルドの海の物語に登場する。海の巨人と出会ってから長い歴史があるのに、文化や行動についてはごくわずかなことしか知られていない。

漁師の物語から収集できる証拠によれば、地上に留まって群れを築く巨人と異なり、海の巨人は複雑な道具を使用し、集団で協力して自然の獲物を狩る。海上の氷の下に潜む鯨を。

マンモス飼いはマンモスの群れと協力関係を築いて平和に暮らすが、海の巨人は狡猾で無駄がなく、恐れを知らない捕食者である。大変な幸運により、私は海の巨人の狩りの成果が浜辺に打ち上げられたものを観察できた。勤勉な博物学者の目からすれば、死骸も豊かな情報源になる。

鯨の死骸に接近したところ、臭いを除いて最も強烈な印象を与えたのは、背びれの上から突き出た木製の大きな棒だった。ノルドの太腿より幅の広いこの棒は、鯨の皮の内部で折れているようだった。先端は硬い骨を削ったもので、銛に似た構造で先が尖っており、鯨のあばらの上の脂肪に引っかかっていた。深い傷だが、致命傷ではなさそうだ。

ではこの獣はなぜ死んだのか? その分厚い皮は恐るべき事実を物語っている。切り傷が背面や側面に付いており、かなり大きな肉の塊が切り取られている。刃で切り落とされたのだ。海の巨人は、どうやら鯨を生きたまま削り取ったらしい。

これには前例がないわけではない。ヅラゾグや狼が大型の獲物を狩る戦術は見たことがある。獲物に傷を負わせて出血とショックを狙うのは有効な作戦である。海の巨人の頑丈な骨格と強大な腕力、そして冷気への耐性があれば、極寒の水中に飛び込んで獲物と取っ組み合いをするのもたやすいだろう。戦いは凄惨なものだったに違いない。大人の鯨を無力化するには、6体以上の巨人が必要だと思われる。

船乗りは海の巨人の船を凍りついた荒野で見たと主張している。島ほどに大きな船で、ギザギザの槍で武装されていると。もちろん、こうした報告は空想に近い誇張と一般に思われている。だが狩猟部隊が乗る船は、とてつもない大きさでなければならないだろう。

海の巨人について我々が知らないことはまだまだ沢山ある。より小さな船を連携させ、正確な攻撃を行う知性はあるのか? あるいは単一の船に固まって、機会がやって来たら獲物へ襲いかかるだけなのか? 彼らはどうやって、鯨を海底からおびき寄せるのか? 突然現れた嵐によって元の居場所から引き離されたこの死骸は、解答よりも多くの疑問を投げかけている。

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