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書籍

ドルアダッチの怖い話、第三巻

旅の作家、カッシア・ヴォルカティア著

読者のみなさんにお伝えする物語も、これが最後になった。これは魔女と魔術に関する話だ。こうした物語が全てそうであるように、今回のものもドルアダッチ山脈の影が舞台になる!

* * *
肌が赤に染まった姉

この物語は私を斧で叩こうとすることなく話してくれる、わずかなリーチの民が教えてくれた。これは全ての物語の中で最も背筋の凍るものだ。老女は2人の姉妹について語った。1人は金髪、もう1人は黒髪で、どちらも最高クラスのリーチの魔女だった。老女によれば、どちらも力への渇望により正気を喰い尽くされてしまった。

色白で年長のリーチ魔女タンシアは、その年齢と強大な風の魔術によって選ばれ、クランを率いることになった。しかしタンシアはすぐに予想もせぬ挑戦者と争うことになった。1歳下の妹ウレシアである。彼女はタンシアの風の魔術と同じくらい強力な、水の魔術の使い手だった!

クランの中には姉妹のどちらにも戦いで適う者がいなかったが、姉妹が殺し合う様を見るのに耐えられる者もいなかった。タンシアとウレシアはクランの誇りであり、数世代で最強の魔女たちだった。クランの誰もが、これほどの逸材を失うことを望まなかったのだ。だがクランのメンバーたちが姉妹にどれほど懇願しても、タンシアとウレシアはどちらがクランを導くか、意見を一致させることはできなかった。結局、クランはこの膠着状態を解消する唯一の道に落ち着いた。驚異的な魔術の課題を解くコンテストである!

こうしてタンシアとウレシアは、魔術の力を試す様々な妙技を披露した。技が行われるたびに激しさを増していった。タンシアは荷馬車を動かすほど強力なつむじ風を召喚したが、妹が木を根ごと押し流すほど強力な水流を召喚したのでうろたえたという。ウレシアがクランの水をハチミツ酒のように甘くしたかと思えば、タンシアはクランの狩人を空気のように軽くして、空を階段のように駆けられるようにした。

老女によると、最終的に常軌を逸してコンテストを激化させてしまったのはタンシアだった。妹に勝とうと必死になったタンシアは、デイドラ公と約束を交わし、クランを指揮する力と引き換えに70年の奉仕を申し出た。しかしデイドラとの取引の常として、デイドラ公はタンシアが要求した以上のものを与えた。新たな族長が指名される前日、タンシアがクランのキャンプに戻った時、白かったタンシアの肌は血のように赤く変わり、両目は小さな炎のように輝いた。そしてクラン全員の前でタンシアは大気を沸騰させ、妹を生きたまま焼き殺した。

裏切られたクランは恐れをなし、散り散りになって逃げ去った。しかしリーチの老女によれば、赤い肌と炎の目を持つ姉は今でもかつてこのクランがいた荒野を放浪しており、人を見れば叫び声を上げ、この孤独な生を終わらせてくれと戦いを挑んでくるという。クランも家族もいない、孤独で陰気な終わりなき生を。

だが赤い肌の姉が持つ力は絶対的で、誰も彼女を倒すことができない。彼女は自分が交わしたデイドラの取引に囚われたまま、誰にも対抗できない力と、誰にも終わらせられない不死の生という呪いを受けているのだ。姉妹のうちウレシアは運がよかったと老女は言った。自由なまま死ぬことができたから。

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