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書籍

深き民の怖い話、第3巻

旅の作家、カッシア・ヴォルカティア著

マルカルスのリーチの民は謎と魔術に満ちた、数多くの暗く悲惨な物語を抱えている。その数があまりに多いので、一介の作家にはどの物語から記録すべきか判断が難しいほどだ。しかし夜中に火の側で語られ、私が聞くことを許可された全ての物語の中で、血を流す木の物語は最も不気味で奇妙な話だ。ご堪能あれ!

* * *
狩人と血を流す木

この物語は最も高齢のヴァテシュランの大半よりも古く、何世代にもわたってクランからクランへ受け継がれてきたもので、数多くのバージョンが存在するが、始まりは全て同じだ。あるリーチの狩人が昔々、暗い森の鹿に向けて矢を放った。しかしその時、何か他の動物が近くで小枝を折った。大きな音に驚いた鹿は飛び跳ねて駆け出し、狩人の矢は背の高い古木に突き刺さった。

逃げた夕食と運のなさを呪いながら、狩人は矢を回収に行った。しかし木のそばまで近づくと、彼はなんとも奇妙な光景に出会った。鋭く正確な彼の矢尻は、ねじれた高い木の皮を貫いて深く刺さっていた。その木の傷口から、輝く赤の液体がこんこんと流れ出ていたのである。

最初、狩人は樹液がこういう色をしているのに違いないと思った。しかし近づいて見れば見るほど、木は血を流しているのだと確信した。木の皮から流れる赤い液体を味見すると、その考えは確信に変わった。彼の矢を受けたこの木は、明るい色のしょっぱい血を流したのだ。狩人は困惑した。

真相を突き止めてやろうと決心した狩人は、ナイフを取り出して木を突き刺した。よく磨かれた鋭い骨の刃は、暖かい木の皮をいともたやすく貫いた。狩人が傷を付けるたび、そこからさらなる血が流れだし、なぜ木が血を流せるのかを理解できない狩人は何度も突き刺した。物語のあるバージョンで、狩人は木を傷つけたことに罪の意識を覚え、苦痛から解放してやろうと思った。別のバージョンでは、木の血を味見した狩人は怒りの発作を起こし、それまで感じたこともないほどの戦いの憤怒に駆られた。

理由は何であれ、物語のどのバージョンにおいても、狩人は傷口が無数に広がるまで木を刺し続けた。木の足元の血だまりはすぐに、彼の足首が浸るほどの深さになった。流すはずのない血を流し、死ぬ様子もないこの木に対する攻撃で疲れ果てた狩人は、矢を回収して立ち去った。クランを探して自分が見たものを知らせようと決心したのだ。狩人は自分の頭がおかしくなったのかどうかを知りたかった。

次の日、狩人とそのクランは血を流す木のあった場所まで戻ってきたが、そこに木はなかった。塩気を含んでいて不気味な、乾いた黒い血だまりだけが残っており、それが木々の葉の隙間に開いた穴から差し込む太陽光を吸い取っていた。昨日までこんな穴は絶対になかったと、狩人はクランに言った。

狩人の仲間たちは笑い、どうせ血は死にかけた動物のものだろうと言った。しかしその彼らでさえ、これほどの血だまりを作っておきながら死体も残さない動物など考えつかなかった。地面に痕跡は何もなく、体を押しつけた跡もなかった。ただ円形の、不気味な血だまりがあるだけだった。

時が経つにつれ、クランも木を傷つけた狩人も、この問題を気にかけなくなった。この事件はそのうちに焚火の側で話す物語に過ぎなくなった。狩人が奇妙な木を傷つけてから、ちょうど1年が経った。

その朝、狩人が朝食に姿を見せなかった後で、クランの他のメンバーたちはテントの中に彼を発見した。狩人の胸には本人の矢が突き刺さり、無数の刺し傷が体中につけられ、気味の悪い自らの血の海に横たわっていた。

しかしテントの中にも外にも足跡は見つからず、斥候の報告では前の日の夜にキャンプへ入った者も出た者もいなかった。クランの族長は不運を呪いつつ、狩人の死体とそのテントを燃やすよう命じた。彼を襲った森の霊魂か何かを鎮めようと思ったのだ。その後クランはこの区域を去り、荒野のこの部分に二度と戻ってこなかった。他の誰かが、また傷ついた木を見つけるのではないかと恐れて。

* * *
「怖い話」の最新巻はこれで終わりだ。しかし安心してほしい。リーチの民は私をサークルに招いてくれた数夜の間、実に数多くの「怖い話」を話してくれた。アルド・カダッチが明確に説明したように、リーチの民は蛮族や獣ではなく、他の民と同じ人間であり、多様で物語に富んだ口承の歴史を持っている。彼らの奇妙な国は、「怖い話」の宝庫なのだ!

改めて、多大なるご支援に感謝しよう。次巻も乞うご期待!

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