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書籍

研究メモ: 混沌の吸血症

上級錬金術師にしてグレイムーア砦上級侍従、レディ・エッセニア著

一体どうして王冠を脱ぐことに耐えられたのか、と最年長の親族が頻繁に尋ねる。まるで力が統治している者の手にしかないかのように。灰の王自身の物語が、その誤りの十分な証拠ではないの?

新たな王が我が戸口に初めて現れた時、同じように考えていたことは認めざるを得ない。数百年統治していたことが私の精神を歪めてしまい、統治者と被統治者という単純な原理だけが尊重に価するものと考えてしまっていた。政治。玉座。廷臣に請願。自分自身に手綱や轡をつけるとは、なんと愚かだったことか! ある種の者にとって、真実と実現は玉座に依存している。私のような吸血鬼にとって、真の実現は研究にある。かすかに光るフラスコ、きらめく解剖用メスに注射器… これらが私の心を引き付ける唯一の宝石だ。私はあまりにも長い間、自分の使命から目を反らしていた。灰の王の出現によって、このことを再び見出すことができた。

私はずっと吸血症感染の複雑さと可変性に驚いていた。それぞれの血統は長く語られる歴史を持っており、それぞれが独自の贈り物を病に求められた者に対して与える。統治者の無意味な位から解放された今、私は自分に問いかける。贈り物を向上させられるだろうか? こうした染みを一体化させることができるだろうか?

私の研究の成果を見るがよい! 混沌の吸血症! 我らが吸血鬼の本質における革命だ。出血吸血症やポルフィリン・ヘモフィリアとは異なり、この新しい病はすでに吸血症にかかった者を標的とする。錬金術の手法で血統を混ぜ合わせても小さな成功がもたらされるとは言え、真の触媒は混沌のクリエイシアだ。これはあらゆる吸血症の根源、コールドハーバーで獲得されたものである。モラグ・バルはタムリエルの獲得を急ぐあまり、双方に向けて開いた扉のことを忘れている。

私はこの混沌の吸血症の感染者を「血の騎士」と呼んでいる。この新しい生物は、今までに知られているどの吸血鬼よりも素早く強い。

全ての偉大な科学的冒険で見られるように、結果は必ずしも安定していない。彼らの下劣な本能の抑制に対する取り組みはまだ苦戦している。さらに研究を行えば、状態をより改善できると私は確信している。幸い、夜ごとに新たな吸血鬼が我々の門に現れる。奴隷用の囲いは被験者で溢れんばかりだ。必要なのは時間だけだ。

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