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書籍

レンリージャ海賊

愛しき人よ、

港には長くはいられないが、友好的なアルゴニアン達と茶を飲み、手紙の下書きを書くくらいの時間は持つことができた。潮の流れが変われば、もう1度海に出てあの卑劣なレンリージャ海賊を追跡することになる。

裏切り者のカジートめ! あの海賊共は必要とあらば世界の果てまで追いつめてやる!

君はいつも不朽の愛を宣言するよう求めてくるから気恥ずかしいが、こちらも同じ気持ちでいるので安心してほしい。

最近、あることで頭がいっぱいだ。レンリージャが我々の土地を自分達の土地にしようと海岸を襲ってきた。猫は縄張り意識が強いというのは知っていたが、あのカジートの襲撃者達はまるで憑りつかれているかのごとく土地を手に入れようとしている。あの海賊共には血も涙もない!

たまに襲撃者の1人を捕まえたかと思えば、いつも同じ腹立たしいセリフの繰り返しだ。領土権やら政治改革やらについてべらべら話し出す。でも実際はそんなもんじゃない。奴らは見せかけの理想の裏で犯罪行為を手助けしている、ただの密輸業者と海の襲撃者にすぎない。嘘ばかりだ! 報いを受けさせなければ!

あの海賊共は睨み付けてくる。奴らは捕らわれている時でさえ冷笑を浮かべている。その軽蔑的な気質に誇りを持っている。それが「レンリージャ・クリン」という名前自体に表れている。「傭兵の笑み」や「笑みを浮かべたクズ」と訳されているのを聞いたことがある。クズなんだ! ぴったりの名前だが、悪党は悪党と呼んだほうがいい。汚らわしいあの猫共は、1匹残らず密輸業者で海賊で盗賊だ。

レンリージャは傲慢な愚か者だ。奴らの組織のいわゆる「掟」が何と呼ばれているか知っているか? 「愚かな概念」だ。愚か者め! 日誌や記録を傍受したから奴らのやり方は知っているんだ。躊躇なき殺人だ。勇敢さを謳っているにも関わらず、正義の手が及べば逃げ出す。貧しい者に安物の宝石を与えることでごまかす。そして特権階級から盗みを働いているにも関わらず、慈善事業家などと宣う。盗人は盗人だろう!

なんと傲慢なことだ! 以前雇っていた召使のことを思い出すよ。君に踊りを教えてくださったあの召使だ。覚えてるかい? 君と何度も密会しようとしたあの浅黒い男のことだ。図々しいったらありゃしない! それとも私がいない間に寝室の窓から君を誘惑したあの庭師のことは? あるいは君を横目でじっと見ながら働いているふりをして、大広間に長居しようとしたあの石工のことは? 悪党め! この世は悪党だらけだ。

私がこんなことをする理由は、君と君の大事なものを守りたいという私的な理由だけではない。王国を守るためなんだ! 海に面している上級王の領土を守るためだ! あの悪党の猫共が勝者となることは決してない。

話がそれてしまってすまない。正義を求めるがあまり夢中になってしまうんだ。残念ながらレンリージャを追うために、グレナンブラの憤怒の乗組員と共に、あと何ヶ月か海にいることになりそうだ。君の所に戻れる日を心待ちにしている。

君の質問への答えだが、いいだろう。君の望み通りの作業員を雇って家を増築する余裕はあると思う。仕事を怠けさせないようにしてくれ。しっかり見張っておいてくれ!

茶ももうほとんど飲み干してしまったし、この霊的なトカゲ族をもてなすのも疲れた。そろそろ行かなければ。大丈夫だ。レンリージャ海賊はブレトン海軍の容赦ない追跡から逃れることはできない。

今までと変わらずこれからも、君の優しくて愛情深い夫、

――グレナンブラの憤怒指揮官、アウグスタス・レリッペ船長

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