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書籍

レイノーの旅行記

キレスから日記をつけるべきだと言われてる。文章を書くのは得意じゃない。キレスはいつも僕より上手に記録をとる。

ドゥエマーは魂石を使って装置に力を与えているようだ。魂石に封印する魂は、どこから調達したのだろう? さらなる調査が必要だ。魂石はもっと日常的な用途に使えるかもしれない。たとえば、誰もが魔法で家を掃除できるようになるとか…

(レイノー、これは個人的な考えを綴るのに使うためのものよ。研究ノートではなくね――K)

キレス、これこそ僕の「個人的な考え」なんだよ。こういうのは苦手だって言ったろ? シャド・アツーラには作文のクラスがあるって聞いてる。地味だけど、役には立ちそうだ。入学を真剣に考えないとならないな。

――星霜の月7日

今後は日付を入れようと思う。そのほうが系統的に書けるみたいだ。前の日付は思い出せないから、空欄のままにしておこう。

今、透明化の装置に取り組んでいる。原理は巻物や付呪と同じく呪文の貯蔵で、なんら突飛な発想じゃない。難しいのは詠唱と逆詠唱だ。「逆詠唱」で合ってるかな? それとも「解呪」だったっけ? 用語の混乱は避けたい。

――星霜の月22日

旅は退屈だ。調査研究を続けるにはあれこれ浮き沈みがあるし、かといって旅に専念するにはやることが少なすぎる。試しにまた記録をつけることにした。まあ、変わらないだろうけど。キレスは問題なく記録を続けているみたいだ。きっと読み応えのあるものとなるに違いない。

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