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書籍

インファーニウムに関して

帝都の評議会付デイドラ学者、ペラギウス・ハーバーのメモより

デイドラ学者はめったにデイドラを召喚しない。我々のほとんどが本物の魔法の資質を欠いているからだ。勇敢か、あるいは愚かな魔術師はオブリビオンの獣をニルンに招くが、大抵はズィヴィライやドレモラといった亜人や、クランフィアやデイドロスのような獣じみた生物ばかりだ。こういった10から15種に偏向することは、不幸にもオブリビオンの住人の真の姿を魔術師の目から覆い隠してしまう。オブリビオンの平原を徘徊するものの中にはニクバエのような大きさのものから、遥かに大きなものまで存在している。

例えばインファーニウムだ。高名なドレモラの外交官によれば、定命の者にその獣の真名は発音できないという。我々の耳で聞き取るにはあまりにピッチが低すぎるからだ。この獣はそのサイズと醜さの両面で既知のデイドラのほとんどを圧倒し、その姿は牙を生やした巨大ヒルや化物じみた芋虫に似ている。馬ほどの生物ですら軽々と丸のみにし、手当たり次第に何でも食べる。

それだけでも大抵の人々には十分に恐ろしいのに、その動機の異様さにはさらなる戦慄を覚える。デイゴンと盟約を結ぶ全てのデイドラのように、インファーニウムは動乱と革命に憑りつかれているようだ。だが、他の獣型のデイドラと違い、この生物はこういった標的を大雑把で一般的な意味では追求しない。この生物は政治的、文化的な力がどこにあるかを鋭敏に知覚しているようで、行動を起こして確認し、恐るべき結果をもたらす。高位のドレモラが定期的にインファーニウムに襲われて餌食になる割合は、身を守る術の乏しい低位のヴァーレットよりもずっと多い。インファーニウムはさらに極大魂石、マスタールーセント、貴重な異次元の遺物などの強力なアイテムを食らう。潜在力、名誉、権威があるところ、必ずやインファーニウムがそばに隠れ潜んで舌なめずりしている。

これは我々定命の者がずっと抽象概念とみなしてきた、力というものの本質に対して様々な存在論的な波紋を起こす。オブリビオンにおいて抽象的な力は、定量化でき、検知できる物理的な力として、計測可能かつ物理的に収拾できる形で存在している可能性を考慮せねばならない。私の生があるうちに真実を明らかにすることはできまいが、いずれ未来のデイドラ学者がこの点を明らかにしてくれるものと信じている。

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