記録357 シャクルにまたしても拒否された。いつかグラーウッド一の魔術師になってみせると言う僕を、彼女は鼻で笑ったのだ。まあいい。大学に入ってからわずかな期間で、僕がどれだけの力を身につけたか見せつけてやるつもりだ。明日、新しい跳躍呪文を披露する。そうすれば彼女だってイチコロさ! 僕の偉業は向こう何年も語り継がれるだろうし、僕はたった一度呪文を唱えただけで、シャクルの気持ちを勝ち取るだろう。 記録358 いよいよだ! 砦のみんなが見守るなかで、呪文を披露する時が来た。シャクルを驚かせることができたら、鍛冶場の作業を手伝わせてもらう約束だ。少しもったいぶってから、二言、三言唱える。次の瞬間、僕はもうロングハウスの屋根の上にいる! さあ、もう間もなくだぞ。 記録359 計画通りには行かなかった。今、僕は猛スピードで宙を飛んでいる… それも、見るかぎり、一晩高い山々のはるか上空をだ。地形がどうなっているかも、よく分からない。待てよ… どうやら下降しているようだ。先生に教わった軟着陸の呪文を、ちゃんと思い出せるといいんだが…
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