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書籍

ニサーズダの日記

これ以上望むべくもない恩恵に対し、サンジーンに感謝を! この者はドラゴンの血を最後の一滴まであなたの名で飲み干すだろう。一滴たりとも無駄にはしない。この機会を逃さず賢く血を利用しなくてはならないが、残された時間は少ない。グランドウルフはいずれ報酬の催促に来るだろう。

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ニサーズダの願いには十分な根拠があり、ここまでは慎重に対処できている。ドラゴンの血を採った小瓶は今も温かい。マジカは溢れんばかりだ。そのためエキスの力が十分に測れない。もしもこの口からよだれが垂れるなら、この獣の血を飲むと想像するだけで喉が潤うだろう。しかしアネクイナの灼熱の砂漠の香辛料に含まれるような、血の激しさによって踏みとどまっている。忍耐が必要だ。

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レノルドめ、ネズミのようにコソコソと。奴の手紙がグランドウルフに届いた経緯は不明だが、どうやらかなり真相に近づいているようだ。ニサーズダは、あの老いぼれがこの計画の可能性に気づいていないのだと〈貪る者〉に請け合った。奴がこれで諦めることはないだろう。ニサーズダは今すぐ行動に移るべきだ。

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ニサーズダの調合薬は、この素材の範囲ではほぼ完璧に近いものだ。希少な血の小瓶をすべて使った。あらゆる儀式も執り行った。知る限りの供物を血の猫に捧げた。ドラゴンの血を味わう準備は万端だ。自分が慎重過ぎると思いたいが、たとえ〈貪る者〉が貪られようとも、この努力は無駄にならないはずだ。

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