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書籍

ナファリオンのメモ

最愛のフェラウェンへ、

制御できると思っていた。そんなものはただの幻想だったのかもしれない。だが渇きはどんどん大きくなっていった。そして私は… ある人を襲った。殺してしまった。一番悲しいのは、そのある人が君の母親だったことだ。

私たちの婚約は、私にとっての全てだ。君は私にとっての全てだ。だが、なぜ逃げるのかは理解してほしい。私が吸血鬼になったことを誰かが発見しようものなら… 私たち両方の家が苦しむだろう。私は消えてしまったほうがいい。

今でも思い浮かぶ。リランドリル、海から吹いてくる涼しいそよ風。喜びに輝く君の顔。太陽を浴びながら、二人で通りを歩いた。本当に、心の底から思う。もう一度だけあの輝きを見ることができたら…

私はこの手紙を君に届けることを決心した。私の家のペンダントも一緒だ。これがいくらかでも慰めになってくれることを祈っている。私の形見だ。でも今の病状では、君に感染させてしまうかもしれない。私がもう一度渇きを抑えられなくなったら、どんな危険に君をさらすことになるか。誰にも分からない。

こんな生活をいつまで続けられるのかわからないが、君には真実を知ってほしかった。どうか理解してほしい。これは君のためにしていることだから。

愛をこめて、
ナファリオン

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