スポンサーリンク
書籍

鉱山労働者の日記

2日目

鉱山のできるだけ奥に拠点となるキャンプを設置した。誰かがひどく苦労してこの通路を掘ったようだが、遠い昔の話に違いない。

幸運にも、鉱山のこの区域はまだ銀やその他の微量金属が豊富にある。トンネルの壁を貫く巨大な手つかずの鉱脈が見える。だが、このことは元々発掘した者の運命に関してかなりの不安を感じさせる。これだけの苦労と投資をして鉱山を開いたのなら、なぜ鉱脈に蓄積された膨大な鉱石を掘り尽くす前に放棄したのだろう?

3日目

今日は崩落したあるトンネルの片付けを終え、その先にある大きな部屋まで入った。私は歴史家ではないが、ここにあるのはドワーフの遺跡の名残に間違いないと思う。岩や鉱石とはかけ離れた、絶対に自然ではないものがあった。

アエサが昨夜、寝ている時に走り回る音を聞いたと言った。スケグは心配がいらないとなだめ、こんなトンネルには素早く動くものがたくさんいるからと言っていた。だが私も物音を聞いたし、それは普通の蜘蛛が立てる音ではなかった。何かにつけ回されている気がして仕方がない。まるで見張られているようだ。

4日目

こんなところには絶対に来るべきじゃなかった。何時間も前にアエサとスケグがドワーフの遺跡へ偵察に行ったが、どちらも戻っていない。影の中で青白い姿が動いていて、癇に障る虫のようなカチカチ鳴る音が通路中で反響している。幻覚を見ているのだろうか? 脱出する道を探しても、おそらく見つけられないだろう。

どうやら今、キャンプにいるのは私だけらしい。誰かが出ていくところを見てはいないが。カチカチ鳴る音はどんどん大きくなっている。呼吸音が聞こえる。さっき、暗闇の中で叫び声を確かに聞いた。アエサの声のようだった。

何かが近くにいる。私を嗅ぎつけたようだ。

コメント

スポンサーリンク