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書籍

大治癒師ヴィラレインのメモ

不幸な事態が発生した。ロスレンが研究室を発見したのだ。被験者の血液を大量に与えて、彼女を鎮静化するしかなかった。成功は目前にまで迫っている。どうあっても、今実験を中断するわけにはいかない。

残念なことになったが、ロスレンの症例は新しい洞察を与えてくれるかもしれない。今のところ、私は被験者の血液を薄めて患者の食事と飲み物に入れている。症状は予想どおり数日間かけてゆっくりと現れている。しかしロスレンの場合は投与量が多かったため、すぐに意識を失ってしまった。

ロスレンの状態は一時的に抑えられるが、完全な吸血症に発展するのは確実だろう。幸運にも、知識があれば解毒剤を作るのは簡単だ。ハーピーの羽根の抽出物を、被験者の血液とその他の錬金術の試薬へ混ぜればいい。

近いうちにロスレンに解毒剤を処方せねばならないが、その後はどうする? 彼女がこの件をバカロ卿に報告すれば、パニックと非難が巻き起こるだけだろう。だが、愚かしい過剰反応に私の研究を邪魔されることなど到底許容できない。成功が近づいているのだ!

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