バクルへ
私は重大な過ちを犯してしまった。甘い言葉とまやかしでここへ誘い出されたけれど、まやかしは触れた途端に輝きを失った。ここにはドラゴンがいるのよ、バクル。足元の砂のように本物だけれど、あのドラゴンがアルコシュでないのは間違いない。ただし、毎日を永遠のように感じさせる術は心得ている。
ダイルナは石を持ち上げたことも、れんがを積んだこともないのに、サンスパイア聖堂を元の美しい姿に戻すため、足がボロボロになるまで働いた。最初は嫌でなかったけれど、努力が足らないとして鞭打たれた。抗議するとさらに鞭を受けた。この聖堂を認めていないけれど、立ち去ることもできない。
バクル。この者は良い姉だったとは言えないけど、それでも姉よ。ダイルナからのお願い。この話をたてがみに伝えてほしい。ダイルナのために来てはいけない。ドラゴンとそのしもべはひどい連中よ。
この手紙が無事に届くことを祈る。誰なら信用して配達を任せられるかも分からないけど。
心を込めて
ダイルナより
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