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書籍

コヴァン・ジリョンの日記

奴らは来て、彼女を奪っていった。

ルラディ女族長は我らの馬を集め、この山の避難所へと導いた。彼女に触発されて、私たちはこの塔を築いたのだ。そして何より、彼女は地下深くにある我らが遺産を見出した。我らの母は千年も生きられたはずだ。あの方は偽の神々に対抗し、民を取り囲む腐敗から我らを守ってくださるはずだった。

だが災厄、すなわち無から姿を現し、目にも止まらぬ速さで動く侵略者が現れた。我らの一族を切り伏せている悪党どもだ。奴らは私たちが丁重に世話していた召使たちを虐殺した。奴らは一瞬のうちに、栄誉ある我らが女族長から約束された故郷を奪ったのだ。

私たちはあの方がお戻りになると信じている。あのように野蛮な怪物たちが、あれほどの力の持ち主を殺したなどとは決して信じない。あの方こそが、我らを再び栄光へと導いてくださるのだ。

私はまた、災厄が再び現れることも知っている。激しい雨の後、地表へ這い出てくる虫のように、奴らは我らの故郷を破壊に来るだろう。

だからこそ私は準備をしている。

我らの遺産から得た教訓は数多い。私は言葉に記しえないことを見た。本でしか読んだことのないような出来事を。私には理解しがたい規模の悲劇を。そして幻視を得るごとに、私の技術は向上している。

だから災厄よ、来るなら来るがいい。私たちから残酷にも奪い取ろうとする者よ、私はバル・サナーを守ってみせる。女族長がお戻りになった暁には、私の献身を称えてくださるだろう。

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