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書籍

名誉ある処刑令状

エリス・レドラン評議員殿

モラグ・トングとして知られる古代の暗殺者ギルドに関連する最近の出来事に伴い、要請どおりこの手引きを用意しました。名家を狙う現在の活動に対し、情報に基づいて対応方法を決断するために、ギルドとメンバーについて分かっていることを全て知りたいと伺っています。ギルドはダンマーの生活における闇の部分を象徴するもので、メファーラの名の下に殺人を称賛しています。驚くことに、この集団は暴力を抑制し、モロウウィンドにおいて争いの絶えない名家の政争が、全面的な戦争に発展することを防止するために結成されました。そのような戦争はまだ起きていないため、モラグ・トングはこれまでのところ試みに成功していると言えるでしょう。

モロウウィンドの行政はモラグ・トングに対してかなり昔、第一紀に制裁を加えましたが、彼らは「名誉ある処刑令状」として知られる契約システムを利用して、これまでも暗黙裡に合法的な暗殺を続けています。定められている法の下において、いかなるモラグ・トングのメンバーも、標的および容認された殺人の目的が説明された令状がなくては処刑を行えません。モラグ・トングは名家の対立において中立の立場を貫き、大切にしている古代の組織の重みを背負って振る舞っています。メンバーは自らの判断で行動することなく、自ら選んだ任務を行なうこともできません。その代わり、ギルドのグランドマスターに宛てて処刑の請願が送られて検討されます。もし請願が受け入れられれば、名誉ある処刑令状が準備され、モラグ・トングのメンバーに与えられます。そうなると、契約の標的はまだ知らないだけで死んだも同然です。間もなく暗殺者が接触し、死刑を遂行するのです。

他の殺人者や、ましてや闇の一党に属する狂信者などとは異なり、モラグ・トングの暗殺者は殺しを行なった後に行いを認め、名誉ある処刑令状を誇らしげに誇示します。令状によってトングのメンバーは、契約を実施する際に起きる可能性がある、いかなる法的な問題からも免責されます。そのため、法律によってトングの処刑者は名乗り出て、その殺人が合法的に、契約通りに行なわれたことを宣言する必要があります。それによってそのメンバーは免責され、関連して予期されない結果が起きることを防ぐようになっています。トングは犯罪者に隠れ場所を提供しないとしており、そのため従わないメンバーがいれば調査を受け、内部で処罰を受けます。

モラグ・トングの起源については、伝説と推測のベールに包まれたままです。確実に突き止められたのは、このグループがモロウウィンド初期、名家が流血の対立をしていた時期に現れ、第一紀の終わりまでに令状システムを確立して有名になったことです。250年頃前に全盛期を迎え、タムリエル中で公に活動し、無類の、分別がある、誉れ高い殺人者としての評判を獲得しました。グループは自信過剰になり、自らの立場を信じすぎるようになりました。皇帝や王の有名な暗殺が多数行なわれてタムリエルの貴族を恐れさせた後、トングはモロウウィンドにある自らの地へと退き、1世紀以上にわたって公の場から姿を消していました。現在、グループはダークエルフの地における目立たぬ存在であり、名家の間で名誉と評判を回復することを目指して、限定された仕事をしています。

モラグ・トングの組織は長年の間、あまり変わっていません。グランドマスターがギルドを率いて、各ギルドホールのマスターに令状の受託と仕事の割り当てをする権力を与えています。注意すべきなのは、個々のメンバーが許可なく契約を受けられないことです。長年を通じて、ギルドのマスターは契約の受託を決定する際に相応の注意を払うことが分かっています。レドラン家とモラグ・トングとの対立が悪化した場合に対処できる方策としては、欺き、殺人、偽りのデイドラ公であるメファーラと当該グループの友好関係が利用できます。組織は正式なもので、その異端的なやり方はトリビュナルからほぼ許容されていますが、オーディネーターとボイアント・アーミガーは、殺人を見つけた場合異端者に素早く、かつ容赦なく対処するでしょう。それについては決断に委ねます。

レドラン家、記録長エナル・ドレン

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