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霜が降りた日記

輝ける淑女よ! あなたの最大の祝福を受けた勇者ウマリルが、単なる人間に滅ぼされました。なぜ? あの異端者どもが、なぜ泥の中から這い上がったのか? なぜあの者たちは生まれた時から着けていた軛を投げ捨てたのか? なぜ奪われた者たちが我らの聖堂にて、あなたが選ばれた人々を手中に収めるのか? これはボエシアの策略? あるいはモラグ・バルの? 狂気の陰謀家よ、嘘つきどもよ! なぜこのようなことが?

光の淑女よ、悲嘆にくれて取り乱した罰として、私は自分の手を痛めつけてやりました。至らぬしもべの無礼をお許しください。私は常に忠実だということをご理解ください。あなたの意志は私の意志、そしてあなたの御業は私の知るべきものではないのですから。

新たな知らせが届いた。人間たちが鎖を解かれた獣たちのごとく、祖先の聖堂から漏れ出て、まだ我々の血を渇望している。奴らは我々を貪るために放たれた忌まわしきナミラの軍勢だ。近隣の王国のいくつかはすでに奴らの侵攻により陥落し、他の王国も反逆者どもに屈服している。臆病な日和見主義者どもめ。私はもうすぐ、ヴァイルとの契約を果たすだろう。

他の王国は溺れつつある。絶望してもがき回っている。ナリルモルは憤怒の石を探す最後の計画があると言うが、たった1つの道具にこの戦争の流れを逆転させる力があるのだろうか。我らが勢力は力を合わせ人間に対抗すべきだというのに、伝承を追いかけてどうする!

他の者たちは耳を貸さない。一致して人間に対抗すべきなのに、その意志がない。すでに部隊がドゥエマーの街を攻囲するため北東へ進んでいる。彼らが憤怒の石を持っているという証拠さえないのに。敵は今いるだけで足りないとでも言うのか?

淑女のお言葉があった。あの方が我々に注意を向けてくださったのは、これまで一度だけ。戴冠式の時だ。あの方は深刻な知らせを授けられた。我らの帝国は崩壊すると。あの方の意志のために保ってきたこの美しい王国が、我々の墓になるのだ。だが全てが失われたわけではない。我々は忠実で純粋であるため、あの方は大いなる秘密を打ち明けてくださった。あの方は我らに憤怒の石の片割れを授けられ、保管せよと命じられた。石は我々と共にここへ埋められるだろう。あの方が再び手にされる時まで。

輝ける淑女よ、我々はあなたに頂いた贈り物と、この聖なる責務に値するよう努めます。我々は常に石を見守り続けます。

淑女の目的は一瞬たりとも疑ってはいないが、それでも近隣の諸王国が無駄と分かっている希望に必死にしがみつくのを眺めていて、辛いことに変わりはない。憤怒の石は決して見つからないと伝えることはできない。彼らが救済を求めてあらゆる隙間を探し回るのを見ているしかない。哀れな愚か者たちよ。あれはお前たちのものではない。ただ逃げればよいものを。

反逆者どもがついに我々の壁に達した。上の要塞も遠からず崩れるだろう。頭上で進行している攻囲の振動により、街の地下室はすでにひび割れ、崩れてきている。我らが民の目には恐怖が映っている。彼らに慰めを与えられないのは心が痛む。お前たちの犠牲が忘れられることはないだろう。我らが淑女が、お前たちの記憶を長く継がれるようにしてくれるのだから。

人間がガーラス・マラタールに足を踏み入れることはない。ここが我らの墓になる。封印の時は近い。

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