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書籍

フレイウェンの日記

母さんに今日、ウィルギンと話してきなさいと言われた。彼の製材機は外が凍えるほど寒い時期にも、街を色々な意味で活かしてくれている。母さんは私がウィルギンの仕事の仕組みをもっと学んだほうがいいと考えている。私がもっと大きくなったら、母さんの仕事を継ぐだろうとも。でも、母さんはそんなことを望んでいないと思う。心の底では。きっと父さんの受け売りよ。

まあ、ウィルギンは親切な人だし、あの大きなノコギリで丸太を切らせてくれるかもしれない。

* * *
ハヴィルと会いに農場まで行った。私はいつも何か口実を作って街を離れ、森を探検している。父さんは狼やトロールについて警告するけど、怖いと思ったことはない。ハヴィルは動物と遊ばせてくれるし、農場の人たちは卑猥な話で笑わせてくれる。楽しいところだわ。モーサルから離れているから、一人前になった気分でいられるし。ムジョレンを訪ねるのも同じ理由。私を首長の娘ではなく、友人として扱ってくれる。

* * *
凄い人が街にやってきた! 酒場に入っていくのを窓から見ていた。荷袋と変な杖しか持っていなかったけど、一体何の用で来たんだろう。仕事じゃなきゃ、誰もモーサルなんかには来ないのに。出てこなかったから、多分部屋を見つけたのね。もっと詳しいことを突き止めなきゃ。

* * *
その人の名前はマクステン。彼女に会いたい一心で、一日中酒場で待った。詩か何かを書いていて忙しいふりをして、エイガに怪しまれないようにしたわ。うまくいったようには思えなかったけど。

ついに彼女が下の階に降りてきたので、すぐ近くに座ってと頼んだ。多分、妙に興奮していると思われたんじゃないかな。私はこういうことにあまり経験がないから。マクステンは少しの間、私を見つめていた。なぜ私が馴れ馴れしくするのか、考えていたんだと思う。それから座って、何か夕食を注文した。朝食と言ったほうがいいかも。日中はずっと寝てると言ってたから。

とっても面白い人よ! 世界中を旅して、自分の研究について学んでいるの。細かい話はしてくれなかったから、私も詮索しなかった。仲良くなれたわ。それに、なかなかの美人ね。

* * *
母さんは私が家をこっそり抜け出したことに気づいた。というより、帰ってくる時にバレたみたい。私はマクステンと一緒に、彼女が辿っているエネルギーの源泉を探しに行った。死霊術を研究していると言われた時、最初は心配したわ。そういう魔術に危険があることは誰でも聞いてるから。でも彼女はとても慎重で、緻密に仕事をしている。今は私も、死霊術がちゃんとした知識の分野だと理解しているわ。他のものと同じよ。泥とかを調べる時、彼女が真剣になっている様子は素敵だと思う。

闇の中を歩いていた時、私は彼女の手を握った。どうしようもない気持ちが込みあげてきて、私は立ち止まって彼女にキスをした。暖かくて、気持ちが落ち着いたわ。もっと何度もあんな気持ちになりたい。

もう言ったけど、戻った時母さんに見つかった。母さんは私が秘密を明かそうとしないことを厳しく叱ったけど、心配しているだけなのが分かった。結局マクステンのことは話しちゃったけど、死霊術のことは言わなかった。母さんが賛成してくれたのでびっくりした。モーサルの暮らしは単調で、母さんもここに来る前の方が充実していた。私にも同じように生きてほしいんだと思う。

* * *
長い探索の末、マクステンはついに探していたものを見つけた。今夜、彼女は古い遺跡まで来てくれと言っている。母さんの意思は無視するけれど、またこっそり抜け出すつもり。マクステンが目標を達成するのを見るためなら、これくらいのことはしても構わない。

街の人々は彼女のことを怪しみ始めている。もう何ヶ月にもなるのに、マクステンは私以外のほとんど誰とも口をきいていない。彼らはいい人たちだけど、よそ者に慣れていないのよ。特にマクステンみたいな魔術師には。

この儀式が終わった後も、ここに留まってくれるといいけど。もう彼女なしで生きることなんて考えられない。

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