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書籍

スプリガンのフィールドガイド

エリンヒルのファラスタス著

次は深い森に住むとらえどころのない女性形の自然の精霊、スプリガンについて検討したい。もちろんその名は誰もが知っている。子供達が相手をからかう時に使うこんな冗談のおかげだ。

「なーんだ?」

「何?」

「スプリガンのお尻!」

…しかし学問はこの半分植物で半分動物な生物について、この子供の悪ふざけ以上の何を語れるだろうか? 標準的な情報源はすべて調べたが、残念ながらタムリエルの学者達はスプリガンの謎についてほとんど語るべき言葉を持っていない。

伝説からも、本物であると証明済みの目撃談からも、スプリガンと彼女たちが猛烈な勢いで侵入者を遠ざけようとする、ある種の雑木林や茂みや緑の森とは何らかの形で超自然的な結び付きを持っていることが分かる。スプリガンの樹液は毒があると言われており、また彼女たちが傷を負った時にはそれを魔法のように治してしまう力があることでも知られていて、敵に回すと恐ろしい存在にしている。

さらにスプリガンは自分達の聖なる森に存在する動植物との間に生まれつきある種のつながりを持っており、彼女たちの味方となって侵入者と戦う動物達のエピソードは事実に裏付けられたものが多数存在する。この同盟関係には熊やスズメバチの群れといった生まれつき攻撃的な動物のみならず、鹿やヘラジカといった普段は気弱な生物も含まれている。

これら動物の盟友がスプリガンを守るのは、果たして愛情や友情からなのか、それともスプリガンに生来備わっている魔力によって召喚されたからなのかという疑問には答えが出ておらず、神秘動物学の研究者の間でも議論の的となっている。だがスプリガンが神秘的な性質を持った生物だということに疑問の余地はない。それは彼女たちが殺された時に死体から採れる、いわゆる「直根」の強力な特性を見ても明らかである。この直根は、それなしでは混ざり合わない強力な試料から複雑な薬を調合することを可能にするという、その紛れもなく神秘的な特性により、錬金術師に珍重されている。

彼女たちの出自に関する謎を解いた者は今のところ1人もいない。時代をはるかに遡り、第一紀初頭に「スプリゲイン・グロアヴェス」に関する記述が見つかっており、古代のイフレとアース・ボーンズの神話にも「木の娘達」が登場する。彼女らの俗称は、ネード語でいきいきとした緑の小枝や横枝を意味する「スプリグ」に由来するようだが、それ以外、彼女たちの出自に関してはすべてが闇に包まれている。

純粋に身体的な面から見ると、スプリガンは間違いなくいくつかの形で出現しており、樹皮から葉の集まりまでさまざまな種類が報告されている。これは異なる種族や亜種のサンプルを示しているのかも知れないし、単純にそのスプリガンが住む土地の植物相との神秘的なつながりを示しているのかも知れない。スプリガンは彼女らが住む森の植物に似た姿をしているように思える。タムリエル北部の落葉樹林では、そこの住人の季節毎の性質まで反映しているようだ。この学者の意見では、いわゆる春・夏・秋・冬のスプリガンはすべて同じ生物で、ただ季節毎に姿を変えているだけである。

一部にはスプリガンに序列が存在すると主張する者もいる。種族の中のより小さなものが、より大きな、時に「スプリガン・マトロン」さらには「スプリガン・アースマザー」と呼ばれるものに忠誠を誓う義務があるというのだ。ここで我々は学問と物語を語ることとの間に一線を引かねばならない。スプリガンは外見上人間の女性に似てはいるが、彼女達が知性の存在を示す行動を取ったり、または階層性の集団を作ることを示す証拠は一切ない。自然界の生物は、半ば神秘的な生物であっても完全に本能に従って行動しており、彼らに人間の感情や思考があると考えるのはセンチメンタリズムでしかない。その種の非現実的な戯言がお好きなら、それを量産しているタネスのレディ・シンナバーの著作をお勧めする。

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