市井の学者、グザンドリア・プレヴェット著
北エルスウェア(別名アネクイナ)で行われているドラゴンの破壊に注目が集まっているが、南エルスウェアもこの悪質な獣の災難に直面している。これはこの野獣に関する私の体験記録だ。無論、遠くからの。私はドラゴンハンターではない!
センシャル近くを訪れた際に、ドラゴンの目撃者に初めて出会った。彼らは大きな赤い野獣が空を切り裂くように飛ぶ様を描写してくれた。ドラゴンが攻撃する前に目撃者は逃げた。この賢い行動指針に対する判断は差し控えるが、私は逃げない。代わりに分類し、記録するべく努めたい。
私は意を決して、目撃者が最後にこの赤いドラゴンを見た場所へ向かった。幸いまだ周囲に居残っていたので、近づいて少しの間観察できた。そして角の構造に奇妙な点があるのに気づいた。あれは角の欠損だろうか? しばらくしてドラゴンは飛び去った。何一つ傷つけはしなかった。ドラゴンの目的は分からないが、どんな騒動も損害も引き起こさなかったことに興味をそそられた。北で報告されてきた事態とはまったく異なる。このドラゴンが無害だという可能性はあるだろうか。悲しいかな、そのような考えを客観的に証明する証拠がない。
その後まもなく、別の赤いドラゴンがセンシャル近くの焦土に現れた。明らかに狩りの意図を持っていた。ドラゴンハンターの一団も現れ、派手な戦闘が起きた。私はドラゴンが叫び、吼える際にその名が分かるのではないかと期待しつつ観察した。ドラゴンはハンターに倒されたが、私は死ぬ前にドラゴンへ近づき尋ねた。「お名前を教えていただけませんか、記録できるように」
「定命の者よ、お前に名を教える価値はない」そう言って、ドラゴンは息絶えた。残念だ。きっと次のドラゴンはもっと協力的だろう。後世のためなのだ。私はこの赤いドラゴンをどちらも「名称不明のドラゴン」の中に入れた。マスナン修道士が、第二紀373年のドラゴン地図で記録したように。
次に、私は南の採石場近くで黒いドラゴンが目撃されたと聞きつけた。私は忠実な馬に乗り、急いでそこへ向かった。このドラゴンが動く姿を見られることを願って。今回も幸運だった。ドラゴンは採石場が見渡せる岩の上に止まり、私には見えない姿に向かって話をしていた。
「私はラートヴロン、お前の主だ。命に従え」とそいつは声を張り上げた。
ドラゴンが自分の名を語るのを聞けるとは、何と幸運だろう! 私はそれを書き留めると、ドラゴンと手下に少し近づきすぎていたことに気づき、慌ててその場を去った。学者の探究心は時に救い難い。
私はセンシャルに戻り、そこで新しいドラゴンガードについて難民たちが話すのを小耳に挟んだ。古代の組織が、我々をドラゴンから救うために戻ってきたのだろうか? 私は彼らを探さねばならない。もちろん、研究のためだ。
誰に紹介を頼めるだろうか?
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