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書籍

デイドラの調査報告書: 冷たい炎の精霊

ドレッドの公文書保管人、デノゴラス著

普通の炎の精霊は、あのまぬけなマルキナズ・ゼクシルが宮殿の中で1体を召喚し、その熱が主のお気に入りの彫刻であったディロジーンの「氷の牙 その4」にダメージを与えて以来、我々の領域への出入りを禁じられている。だが彼らの追放は、我々の領域の注意深く均衡を保たれた美しい痛みに関する価値観に、測り知れない欠落を残した。言うなれば、我々の恐怖と絶望のコーラスには、ある声が欠けているのである。

認めよう。私は視野の片隅で跳ね回り、のたうっていた彼らのしなやかな姿が、一切の感情を示さず、ただ放火犯の渇望だけを表現していた彼らが恋しかった。そこで私は職場での任務に支障が出ない範囲で、追放された炎の精霊の代用品を、彼らの存在によって生じる魅力的な危険の代わりとなる、何か別の召喚可能な存在を探そうと決めた。

私は偽りの塔に保管されていた境界横断型スキャナーの予備を利用し、そのルクス下の疑似皮質の範囲内にあるオブリビオンのすべての次元を見渡す形で再検討を行う任務を自らに課した。37000以上の異なる次元や混沌領域、小現実をスキャンした後、私は探し求めていたものをDOP 9497.15、そこの好奇心の強い住人達には「タクバーの第四のくぼみ」として知られている場所に見出した。私は即座にその次元がDOP 6こと、全種族の召喚師に一般的な炎の精霊の住む次元として知られている「インファーナンス」が逆転し、熱を吸収するようになったものだと気が付いた。インファーナンスのすさまじい高温の世界では溶岩が水のように流れているが、タクバー(簡潔にこう呼ぶこともある)では岩盤が途方もない寒さにさらされることにより、物質同士の結束がするりと解け、石が冷たい溶岩のように流れるのである。

そのタクバーで、私はついに境界横断型スキャナーのレンズ越しに、昆虫のような目をした、冷たく青い炎を燃やしながら渦を巻いている精霊達の姿を目にした。探し求めていたものが見つかったのだ。

その後でインファーナンスの代わりにタクバーに向けてコロンの強制召喚を行うのは、単純作業でしかなかった。私は7回の勤務の間に「冷たい炎の精霊」と呼べるものをコールドハーバーに召喚することに成功した。期待通り、これは不快な熱波を放つというよりは冷たい炎の精霊であり、その周囲では気温が急激に下がった。

これはもちろん大変結構なことだった。

行動に関して言えば、私の冷たい炎の精霊はすべての面で普通の炎の精霊と同じように行動した。そして彼らとまったく同じように怒りっぽく、自分を威嚇した者に青い火の玉を投げかけ、必要とあらば冷たい火柱を召喚した。これは以前コールドハーバーで彼らの火のようないとこたちがつとめていた空飛ぶ哨戒兵の役割を果たすのに最適であり、それが今、彼らが我々の主の領域で果たしている主な職務である。

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