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書籍

キャス・ベドロードのカタコンベ

ビクター・クロクエル著

キャス・ベドロードの墓所には、ハイロックの安全を守るために数多くの戦いで活躍し、流した血を祖国の大地に染み込ませ川に注いだ我らが最も偉大な英雄たちが眠っている。彼らはこの地を守るため、持てるすべてをなげうったのだ。

「英雄」という言葉の意味は、それを使う者の立場によって変わる。誰かの英雄は、ほかの誰かにとっての悪漢かもしれず、誰かの王は、ほかの誰かにとっては暴君かもしれない。しかし、キャス・ベドロードに眠る者は一人残らず、祖国のために戦い命を捧げた。我々が今のように暮らせるのは、彼らが銘々のやりかたでそれを可能にしてくれたからだ。

そして、こうした英雄たちの墓の下にあるのがカタコンベだ。私はそこに、歴代の王や王妃、王族たちが葬られているとにらんでいる。鄙びた周辺地域を調査した結果、どうやらカタコンベが存在するらしいと分かった。しかしながら、この秘密の墓所への入口はまだ見つかっていない。そこで、現存する記録がないか、あってもせいぜいが不完全ないくつかの主題について、つらつら考えてみたい。

はるか昔、アレッシアとディレニが干戈を交えた幾多の戦いのなかでも最大級の合戦が、まさにこの地でおこなわれた。大いなる戦いで、大勢の人々が命を落とした。その後アイレイド最後の王がみまかると、ディレニ一族の血筋は次第に細り、絶えていった。

ただ、ディレニの人々は、最も強力な魔法を自在に操ることができた。それはディレニ以前もディレニ以降も、見られないタイプの魔法だったという説もある。その魔法があればこそ、ディレニはアレッシアの圧制を打倒し、その軍の進撃を止められたのである。

私に言えるのは、キャス・ベドロードの地下に眠るのが、遠い昔に戦いで命を落とした英雄たちだということだけだ。ディレニの人々は斃れた同胞をここに葬り、安息の場所が荒らされることのないよう封印したのだ。

この仮説を裏付ける新たな証拠を発掘すべく、私は調査を続けるつもりだ。また、こうしたカタコンベへの入口を見つけるために、キャス・ベドロードの探索も継続するとしよう。

できればこうした墓を守っているディレニの魔法をかき乱さずに済ませたいが、こればかりは祈るしかない。

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