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新たな航海
契約相手、レディ・アラベル・ダヴォー。通常の倍の料金。保証人はウェイレスト財務省のエドウィナ・ゲーリング
その1
ウェイレスト
空は灰色だが、落ち着いている。
もう何日もここで足を休めている。コッパーとかいうあのダガーの環の女、とてつもないカード名人だ。口数は少ないが、よく勝つ。うちの積荷についても二言以上は口にしない。
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ついに出航だ。南西へ航路を定めよ、余計なことは聞くな。乗船してきた護衛対象の貴族はえらく派手だった。あの上流階級の者たちが必死に目立たないようにしていることに、誰も気づかないでいてくれるといいが。
その3
ダガーフォールを通過中
天候は安定している。
上級王エメリックはあれでごまかしているつもりなのだろうか。あの声ではどこにいてもわかる。あの男の肺活量はノルドのスカルド並みだし、船全体に聞こえるくらい大声で喋っている。乗組員たちが下を向いて、口を閉じていることを祈るしかない。
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上級王はようやく秘密を打ち明けた。迫ったので、他に選択肢がなかったようだ。シストレス諸島へ向かうことになった。ドミニオンとパクトの旗を掲げる船2隻と途中で合流する。何かの首脳会談だろう、賭けてもいい。とはいえ、賭け事をしないのが今日の私の仕事だ。
その6
ストロス・エムカイ西。
天候は晴れ、安定している。
パーフェクトパウンスとカマルズベインに合流。ザジ船長とツゾ船長の評判は聞いていたが、直接会うのは初めてだ。沖合で信号を使って合図することを直接会うと言っていいかどうかは微妙だが、まあそれに近い。残りの航海は一緒に向かうのだろう。
その9
アビシアン海
天候は変わりやすい。
天候の動きが妙だ。この海域は10回以上も航海しているが、こんな状態になるのは見たことがない。巨像の姿が見えてくるまでにこのスコールがやむことを祈ろう。その間、読書の遅れを取り戻す。ウェイレストを出る前に、タイリン・ウィロリアンの「欲望と恋人たち」と、捜査官ヴェイルの最新作「呪われた灯台」を手に入れた。これで本土に戻るまでの暇つぶしになるだろう。
その12
シストレス視認可能
荒天
ハイ・アイルを確認するやいなや、激しい嵐に襲われた。乗組員全員に命綱をつけるよう呼びかけ、甲板下にまで行って陛下に荒れた海へ備えるよう伝えた。衛兵たちは喜ばなかったが、王は喜んでいた。笑ってしまう。この嵐では船団を維持できない。嵐はどこからともなくやってきた。ここらの海で、こんな経験はしたことがない。
これが最後の記録になるかもしれない。海はデューンリッパーの尻のように大揺れしている。ゴンファローネ岬から光が差さないので、我々は盲目だ。尻軽女のターヴァめ、私に借りがあるだろう。生き延びさせろ! こんなことで挫けてはいられない。いつものように、船員たちと一緒に生き延びる。
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