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書籍

弓師と矢職人

スカヴィンの下手くそ大工、ホアリー・ドゥロッツェル著

いいかよく聞け、若者よ。これから弓と矢についてちょいと教えてやろう。もしゴブリンが戻ってきたら必要になるからな。だから、いまいましいけん玉なんか片付けて、注意して話を聞けよ。

ところで、弾力性のある木を使った1つの部品からなる弓は、「自己」の弓と呼ばれる。それは己のみだからだ、分かるだろ? 長弓使いのブレトンはそういう弓を好む。そしてこう言うんだ、糸を張る以前に、その射手の身長と同じくらいの長さの弓じゃない場合、それは弓ではないとね。彼らはイチイ、ニレ、トネリコを使うのが好きだ。そういう木はちゃんと育てば、芯がギュッと詰まっていて頑丈にもかかわらず、しなやかだからだ。

エルフの弓は一般に短めで、より複雑だ。いくつかの部品で組み立てられているため「複合」弓と呼ばれている。おい、聞いているか? こしゃくな若造どもめ。しかも、異なる素材が使われているのだ。中央部分の棒に使われるのは木材と決まっており、自己の弓と同じように湾曲している。しかし、その両端には、威力を強めるために反対側に曲がった部品が取り付けられている。この「逆方向に湾曲した」両端の部品には、角か甲羅が使われることが多い。

ところでヴァレンウッドのウッドエルフだが、ある問題を抱えている。というのも、彼らが私や君たち以上に自分たちの弓を愛しているのに、正気ではないグリーンパクトのせいで弓の胴体部分に使う木を切れないからだ。だから複合弓の全てを、角、虫の殻、枝角、あげくの果てに骨で作っている。その骨の曲げ方は私の理解を超えているよ。どうにかして処理し、お酢のようなものでグツグツ煮るらしい、とか何とか噂に聞いた。

次は矢だ。まずは、真っすぐに飛ぶよう矢の端に付ける羽から始めるとしよう。ほら、この矢。どのように羽がついているか見てみろ。この一直線の羽は、シャフトに対し平行になっているか? いいや、そうじゃないよな。今日はここまで。明日、その理由を説明しよう。

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