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書籍

神聖なアルマレクシアの昼の寓話

カラスとネッチ

ある日、好奇心の強いカラスはこれまでよりも遠くへ飛ぶことにしました。カラスは飛びに飛び、ついにはとても奇妙に思える生物と出会いました。

「友よ!」その生物の脇を飛びながらカラスは呼びました。「友よ、あなたは何だ? あなたのような飛ぶ獣を見たためしがない!」

「ネッチと呼ばれている」、善きネッチが答えました。

「ネッチ! ネッチ! ずいぶん素敵だね!」カラスはびしっと言いました。「教えてネッチ、あなたはどうして飛べるの?」

「生まれた時からこの地を飛んでいる」ネッチが答えました。「どうしてかは知らない」

「知らない、知らない、これは見物だ!」カラスが叫びました。「飛ぶために役立つ、つやつやの羽はどこにあるの?」

「飛ぶために羽は必要ない」ネッチが説明しました。「だが、身を守る丈夫で厚い皮がある」

「毛皮! 毛皮! めっけ物」カラスがばかにしました。「教えてネッチ、あなたの目はどこにあるの?」

「空を飛ぶのに目は必要ない。私を見れば明らかだろう」もう一度ネッチは答えました。

「空を飛ぶのに目がない、目がない!」高慢なカラスは続けて言いました。「でも、目のないあなたは、私よりずっと不細工!」。そしてカラスはネッチの不幸を笑い始めました

カラスの笑い声はますます大きくなり、やがて近くのクリフ・レーサーの注意を引きました。獣はカラスめがけて急降下し、丸ごと飲み込みました。カラスはもうネッチをバカにすることができませんでした。

ネッチはただ溜息をつき、言いました。「他者を笑いものにしても意味はない。自らの弱みは誰にも変えられないのだから」

* * *

贈り物のグアル

ある日、農民が娘に贈り物をすると決めました。家庭を持つ娘の幸運を祈ったのです。極上のグアルを選び、娘の新居に連れていきました

娘は贈り物を見て喜びましたが、夫は睨みつけるだけでした

「選ばせてもくれないのか?」夫は怒って聞きました。「このグアルが病気にかかっていたり、老いていたり、弱っていたらどうする? 少なくとも世話をさせられる前に、調べなければ!」

娘は夫をなだめようとしましたが、農民はただうなずき、言いました。「思うままにグアルを調べればいい」

夫は隅々までグアルを調べました。力強いあごまで開けさせて、歯の並びを見たのです。

「まあ、これで我慢するか」夫はしぶしぶ認めましたが、そのグアルは確かに上等なものだと分かっていました。

農民は夫の顎を殴りました。「ああ、お前の言うとおりだ。望みのグアルを選べてしかるべきだな。地元の市場でたくさん売っているぞ」

義理の父がグアルを連れて家に帰ろうとする間、夫はただぽかんと口を開けていました。

妻は夫の腕を叩いて言いました。「バカ! もらったグアルのあら探しをしないで!」

* * *

評議員の子供

ある夏の日、鮮やかな正装をした評議員がたくさんの召使いを連れて市場を歩いていました。あまりにも華麗な装いだったために、人込みの中の小さなエルフが母に言いました。「評議員が僕のお母さんだったらよかったのに、お母さんの代わりにね!」

小さなエルフは、まさか評議員に聞かれているとは思わず、評議員が雑踏にいるエルフの方を向くとも思っていませんでした。

「あなたの願いは聞きましたよ、坊や。いいでしょう」評議員は、口を開けた小さなエルフに言いました。「私の子になるあなたには、すべての願いを叶えてあげます」

小さなエルフはすぐさま評議員の邸宅へと連れていかれ、おもちゃとお菓子のある部屋に入れられました。エルフは笑い、手を叩き、望むままに遊んで、食べました。しかし、間もなくそれにも飽きて、召使いと話をしにいきました。

「一人で遊んでてもつまらない」エルフは召使いに言いました。「誰か一緒に遊んでくれない?」

「評議員の子供は最上の身分です」召使いが言いました。「あなたと遊ぶためにふさわしい者はいません」

学者が部屋に入ってきて、小さなエルフは召使いの言葉を考える時間がほとんどありませんでした。学者は軽蔑した目で小さなエルフを見て言いました。「数時間も授業の開始が遅れていますよ! 評議員の子供は、大切なことをたくさん知っておかねばなりません」

小さなエルフは学者の授業を何時間も聞かされました。そうして、これから知ることを考えると、頭が痛くなりました。

やがて夕食の時間になりましたが、小さなエルフの苦労は終わっていませんでした。

「その服で? その身なりで?」召使いが恐怖に叫びました。「評議員の子供として出るのなら、体を洗い、服を着なければなりません!」。そして小さなエルフはごしごし乱暴に洗われ、とても着心地の悪い服を着させられました。

この時点で小さなエルフは泣きだしそうでした。家や服、友達のことを恋しく思いました。しかし一番恋しく思ったのは、一日たりとも離れなかった母親でした。

小さなエルフがようやくダイニングホールに送られてくると、驚きとともに迎えられました。ダイニングテーブルで座っていたのは家族でした。皆が笑い、笑顔を浮かべています。エルフは母の腕に飛び込み、叫びました。「ごめんなさい、ごめんなさい! やっぱりお母さんがいい!」

テーブルの上席に座っていた評議員は微笑み、小さな子供に言いました。「とても大切な教訓を学びましたね、坊や。欲しいもののことだけを考えていると、今あるものへの感謝を忘れがちになるのです」

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