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バルグヴィルの攻城日記

今晩も首を噛まれずに過ぎた。それは勝利と言ってよいかもしれない。叔父のホフナーは船乗り時代、スコールに備えるため片目を開けて眠っていたという自慢話をしていた。叔父を越えるために両目を開けて眠ろうとしているが、うまくいかない。

バリスタの弾は尽きた。鍋やフライパンでも使わない限り、今じゃ高価な薪にしかならん。そもそも大して役に立ってはいなかった。昨日壁に目をやったら、ある巨人がバリスタのボルトを棍棒のように振り回しているのを見た。棍棒が必要な連中に、棍棒をくれてやったようだ。

どれくらい持つだろうか。吸血鬼どもが壁を引っかく音が夜の間ずっと聞こえる。俺たちに囁きかけているようだ。闇の魔術で誘惑するつもりだ。俺は片耳が聞こえないから、他の連中の半分しか効かない。だがルドヒルドを手すりから引きずり降ろし、連中のところに飛び込んでいくのを止めなきゃならなかった。彼女はオグヴァルが縛って、顔に水をかけた。まだ泣きわめいて、ブツブツ言っている。皆は闇の魔術のせいだと言っているが、どうだろう。俺たち全員が、数日もすれば彼女と一緒に叫び始める気がする。

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