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書籍

孤独とは

遠い昔エルスウェアで、愛情に溢れた両親のもとにある少女が生まれた。不幸にも、この少女の様子は正常ではなく、尻尾もなければ耳もこぶのような物があるだけ。さらに目の瞳孔は山羊のように割れ、歯は馬のように平らであった。彼女は他のカジートの子供達に拒絶、仲間外れにされ、笑いものにされた。ひどいことだ!

彼女ができの悪い子であったこともあって、両親でさえも彼女のことを恥じるようになった。尻尾がないことで平衡感覚が鈍く、耳が小さいせいで同族のように微かな音を聞き取れなかった。狩りも盗みもできなければ、魔法も扱えない。彼女は本当に、本当に孤独だった。同族の中にいる時でさえも。

だから彼女は飛び出した。タムリエルを渡ってずっと遠くへ。商人のキャラバンに潜り込んで、生き延びるためならむせ返るようなゴミも何でも食べた。見つかった途端、彼女はぬかるみに放り出されて棒で殴られるのであった。怪物と呼ばれながら! なんてひどい!

しかし、彼女に一筋の光が射したのだ。ある日、彼女が出会ったのは大きな旅の曲芸団。その一団にいるのは彼女と同様に奇妙な見た目の人達ばかり。おかげで彼女は拒絶されることがなかった! 彼女は芸としてダルシマーの演奏方法と、自分の平らな歯で骨を砕く方法を教えてもらった。

今でも彼女の心には孤独が巣食っている。でも彼女は幸せなのだ。たった1人で孤独にならなくてもいいと分かったから。

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