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書籍

アバーズ・ランディングの商人王 第6巻

タネスの女王の秘密の主、タモニール著

これを君に送ろうかずっと悩んでいた。
内容は全て仮説や憶測に過ぎない。
証拠がないんだ。
君に見せられるようなれっきとした事実が。
とはいえ、君には私の考えを知ってもらう権利があると判断した。
ダークエルフたちが言うように、用心するに越したことはないからな。

前の報告書では、アバーズ・ランディングの貿易会社を妨害し、攻撃までしている別の組織が存在すると示唆した。
これを「隠れた貿易会社」と呼んできたが、もっと良い名がある。
影のコングロマリットだ。
夜中に目の前に広がる大きく深い裂け目のごとく、暗闇の中に確かに存在しているのに、影のコングロマリットは目で見ることができない。

影のコングロマリットとは何なのか?
私には分からない。
組織の真実を暴けるところまで来たかと思えば、また次の手掛かりを求めてあちらこちらと飛び回らされ、結局いつもあと一歩で届かないところにいる。
これまでに分かったことを記す。
影のコングロマリットはおそらく40年ほど前に組織された。
そしてそれまで1世紀もの間、独占状態にあった商人王たちの前に現れて挑戦状を叩きつけた。
そこから25年以内に、影のコングロマリットは貿易会社たちが一歩引き、権力と影響力の一部を譲らなければならないほどの力をつけた。

闇の奥深くで、何らかの戦いが起こったのだろう。
この戦いで隠れた貿易会社が勝ち、表に出ている貿易会社たちは痛手を負い、築き上げた玉座から突き落とされたのだ。
最も悲惨だったのはガージェス・アンド・アソシエイツで、ほぼ一夜にして総崩れとなり「落ちた貿易会社」と呼ばれるようになった。

影のコングロマリットがアバーズ・ランディングの真の権力者なのだろうか?
それがはっきりと断言できないのが、私の一番の悩みだ。

(メモ:この報告書はタネスの船舶から「回収」され、アバーズ・ランディングの関係者に届けられたものである。
湾の向こうの親戚たちが我々のことをどう思っているのか皆に知ってもらうために公開した――匿名)

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