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書籍

感謝の印

グワエリングが最初にそれを見た。ヒョウだ。その目は頭上で輝く月のように光っていた。その日のうちに囮を設置して、ヒョウが近づいたときに、矢を放ってそれを解放した。

どういうわけか、その獣は私達の企みに気付いていたのだ! あの老いぼれた怪物はきびすを返すと、物陰を睨み付けた。私達は藪の中にしっかり身を隠していたつもりだった。それはうなり声を上げると、黒い風のように全速力で私達に迫ってきた。

グワエリングが矢を放った。矢は雷のように獣の目を射貫いた、だがその獣は立ち止まらなかった! そして獣は私の槍の間合いに入ってくると、私を突き飛ばした。気が付くと手には槍がなく、私は頭上にあった木の中で大の字になっていた。その断末魔はすさまじかった。

グワエリングは剣を使ってその瞳の炎を消した。私は頭蓋骨を持ち帰った。感謝の意を示すために、それで形見を作るつもりだ。

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