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書籍

囚人の日記

自分が誰でどこから来たのか思い出せない。私が何をしたというのかまったく分からないが、とにかく忌まわしい。なぜ私が偽りの塔で捕われなければならないんだろう。

今日は岩を壊した。かなりたくさんの岩を。100の岩だ。粉々にしなけりゃならなかった。大変な仕事だった。だがやってのけた。腕が痛くなり、手から血が出た。それでもまだ続けた。

今日はオグリムの拷問を受けた。小屋に連れていかれて閉じこめられ、鞭打たれた。痛みはあとからあとからやってきた。良き日、良き場所を思い出してやり過ごした。何かについて考えたが、思い出せない。太陽の下で消える霧をつかむようなものだ。何を話していたんだっけ?

今日は解体屋イフリツの話を聞いた。彼はおしゃべり好きだ。偽りの塔での生活がいかにすばらしいか話しつづける。彼の声なら一日中でも聞いていられる。心地いい。恐ろしい。泣きたくなる。どうして彼は私に怒鳴りつけるのをやめてくれない?

今日は何日だ?

虫だ。虫が私の体中を這い回ってる。目の中に、口の中に、払いのけても戻ってくる。しつこい。執拗だ。12。

今日は黄色だ。

拷問者のオグリムに礼を言った。彼がどれだけ私を気にしているか知らしめるために、1時間以上鞭打った。

頭蓋骨がかゆい。

なぜ岩が泣くんだ? ハンマーで叩く度に泣く。

私はどこかのギルドにいたのだと思う。だからここにいるんだ。何か黄色いことをしたに違いない。

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