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書籍

カシピアの心変わり

大蛇の如き計略の、摂政の執事長、リトルリーフ著

スケールドコートで、大蛇の如き計略の摂政という肩書きを受けるカシピアは常に12歩先を見ている。
戦士が複数の武器を携帯し、どんな状況にあってもふさわしい武器を取り出せるよう準備しているように、彼女は不測の事態を想定し、代案を携えている。
だが、私は彼女の最近の行動に混乱している。
どのように捉えたらいいのか!
わかっていることを書き連ねてみたら、私の進む道がより明らかになるかもしれない。

とはいえ、彼女の複雑な思考を不正確に表現したくないので、見聞きしてきた記録すべきカシピアの行動全てを書き留めるのは気が進まない。
彼女の敵に、彼女が大蛇を憎む悪人であるかのように真実をねじ曲げさせたくないのだ。
世界中の人々はカシピアの聡明さを、本当にありのまま理解する必要がある。
百万の星のように鋭い、取り巻く薄暗い光とは対照的な輝きを。

私達の錬金術師がニルンクラッツと呼ぶ原初の元素と、エセリウスの天空のエネルギーとの間の繋がりに最初に気づいたのはカシピアだった。
カシピアは即座にアイアンオークの働きを向上させるため、その元素を使うことを思いついた。
そして、新たな生き物を創造するという天才のひらめきは、大蛇そのものともいえる純粋な霊感とともにやってきた。

しかしその後、大蛇の命令で彼女の働きがどのように利用されているか知った時、私の友にして女主人は激しい怒りに燃えていった。
彼女は例えばマンティコラを創造するのは好きだったが、それが破壊の原動力以外の何者にもならないことを嫌悪した。
彼女はアイアンオークが冶金術と錬金術を持って実証した技能は高く評価したが、このような素晴らしい道具がトロールとウェルワの間で無為に消費されていることを激しく忌み嫌った。

あえて言うのであれば、カシピアは大蛇に背いた。
そして私はその事実とどのように折り合いをつけたらよいのかわからない。
スケールドコートをこの世界中の人々が見たこともないような偉大なるものへと導くと彼女は言うが、大蛇のお恵みなしに、いかにしてそれを成し遂げられるというのか?
私は彼女を信じたい。
愛し、理解している女性を信頼したい。
だが、私も同様に、大蛇の巻き付くような抱擁に背を向けられるのだろうか?

カシピアは大蛇の如き計略の摂政で、私はと言えばせいぜい彼女の揺らめく影の中に立つのが精一杯だ。
私は彼女が何を計画しているか知っている。
彼女がどれほど不変のニルンクラッツを使って力を高めたいと願っているか。
だが、今は全てが間違いだと感じる。
彼女がやりたいと思っていることは、私にはあまりにも危険なように思われる。
私は彼女の身を案じている。

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