ヴィベク著 第三十四説話 そしてヴィベクは真実の省を出て空間なき空間へと戻った。仮の家から中界を覗き込むと、最後にして最強の八匹目の怪物を見つけた。グルガ・モル・ジルなど複数の名を持っていた。賢き者は他の場所でこの力の連鎖を探さねばならない。 ヴィベクはホーテーターを呼び、ネレヴァルは初めて仮の家へと足を踏み入れた。彼はヴィベクが何年も前に見た光景を目にした。双頭の支配する王である。 「あれは誰だ?」と彼は考えた。 ヴィベクはこう言った。「征服の赤い宝石だ」 ネレヴァルは恐怖のためか主の返答に苛立った。「なぜあなたはいつもそんなに曖昧なのですか?」 そうしなければ自分自身の存在を裏切ると、ヴィベクはホーテーターに言った。 二人は中界へ入り、かつてアイエムとセトがヴィベクを見つけた場所の近くの村へ向かった。八匹目の怪物はそこにいたが、怪物らしい行動は起こさなかった。困った顔をしながら足を海につけて座っていた。親を見た彼は、なぜ自分が死んでオブリビオンへ戻らねばならないのかと聞いた。 そうしなければ自分自身の存在を裏切ることになると、ヴィベクは八匹目の怪物に言った。これでは怪物が満足していない様子だったため、まだアイエムの慈悲を残していたヴィベクはこう言った: 「炎は私のものだ、飲み込まれるといい そしてボエトヒーアの家の パドメの祭壇に 秘密の扉を作るといい そこは安全で 見守られている」 怪物は穏やかな表情でムアトラを受け入れ、彼の骨は死者の街ナルシスの土台となった。 ネレヴァルは準備していた斧をしまい、眉をひそめた。 「なぜ」彼は言った。「八匹目の怪物がこんなに簡単に諦めると分かっていたなら、なぜ私を連れて来たのですか?」 ヴィベクは長い間ホーテーターを見つめた。 ネレヴァルは理解した。「自らの存在を裏切る必要はありません。好きなようにお答えください」 ヴィベクはこう言った。「私の子の中で最も強い者は、先に安らぎを与えさえすれば反抗せずにムアトラに屈すると分かっていた。だからお前を連れて来た」 ネレヴァルは長い間ヴィベクを見つめた。 ヴィベクは理解した。「言いなさい、ホーテーターよ」 ネレヴァルはこう言った。「これで私があなたの子の中で最も強い」 この説話が、死ぬ定めにある読者にとって安らぎとなるように。 言葉の終わりはアルムシヴィである。
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