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書籍

メエルーンズ・デイゴンの叙事詩、第1巻

目覚めの炎教団の歴史家、ヴァレンタイン・リオレ著

権勢を誇る高貴なる王は、この本に書かれた物語を喜ばない。物語を書き記さねばならないことは俗悪だ。野望のデイドラ公のことを耳にした者ならすべて知っているだろうが、彼こそが全世界の正当なる支配者だ。どんなデイドラ公も彼の機知には敵わない。どんなデイドラ公もカミソリを統べる者のように世界を賢明に導き、浄化する精神的な強さを備えていない。どんなデイドラ公もメエルーンズ・デイゴンの栄光には及ばない。この栄光の物語を書き記す罪を犯したため、この仕事が終わったら、自らを彼の怒りの炎に投じねばならない。

交わした取引に対するはメエルーンズ・デイゴンの尽力と力を披露するため、まずは炎と洪水の王と付呪師アレバスの物語から始めよう。アレバスは炎の暴君を呼び、彼女の最大の儀式を披露するのと引き換えに領域を借用しようとした。彼女は必要な材料を集めた。そこには自然の恵みや定命の者の創造物も含まれていた。一方、デイゴンには結界に彼の力を込め、魔法が誕生するのを見守るように依頼した。

アレバスは、デイゴンに「我が安全を保障せよ」という取引条件を提示し、彼は承諾した。準備が整うと、アレバスは砂浜に図を描き、波の力を呼んで、死者と腐敗した木々を復活させる力を借りた。

儀式がアレバスが想定したより大きな力を水から引き出すにつれ、水は引いて行った。海の中央から山のような大波が殺到してくるのを、彼女は怯えて見ているしかなかった。

デイゴンは取引を思い出し、素早く呪文を放ち、海の力に対抗した。向かってくる波よりも高く炎が膨れ上がり、盛り上がった水は蒸気に変わった。アレバスが気がつくと、自身は焼けた森と潮だまりの入り交じった浜辺におり、無事だったことに気づいた。季節が一つ過ぎ、全ての腐敗した木々は元気に育ち、枝は茂った。

これはまさにメエルーンズ・デイゴンの力の栄光と、取引を結んだ相手への尽力を示している。変化のデイドラ公は血と苦痛で代償を払わせることで知られている。彼と関わった者はみな、この世界は痛みと苦しみが常に存在していることを承知し、定命の体が滅ぶ衝撃を通り越した者たちだ。だがメエルーンズ・デイゴンは取引を裏切らない。デイドラ公と取引をする時は、賢く要領よく立ち回れ。さすればデイドラ公が慈悲を垂れてくださる。

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