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書籍

言葉と力

発明家テレンジャー著

タムリエルの言語には、ただの便利な意思疎通の道具以上の役割があるのではないだろうか? 私は様々な研究を通して、言語と魔法の繋がりを明示する例を無視できない頻度で発見してきた。特に今行っているルーンストーンの調査がそうだ。考えを言葉に流し込む行為そのものが、発動を意味するのではないだろうか? 確かに過激すぎる考えだが、この考えを支持する証拠を提示したいと思う。水晶の塔のサピアルチが、この考えの是非を証明してくれることを心から願う。

まずは付呪のルーンストーンから始めよう。どの石にも文字の組み合わせから成る印が刻まれている。ルーン1文字だけでは効果がない。だが他の文字と組み合わせて適切に配置すると魔力を発揮する。完全な状態、つまり表現が完成すれば魔法が発動する。その言語を完全に理解していなくても、力を解放できる。十分な数の文字が存在していないし、はっきりとした発音もわかっていない、だがグリフを研究してルーンストーンを組み合わせることで、活用するために意図を理解することはできる。言語そのものが根底で魔法と繋がっているのは間違いないが、起源についてはまだわかっていない。

将来有望な付呪の学生たちには説明するまでもないが、解読不能なルーンに出会っても落ち込む必要はない。学んできた文字と文章を何度も復唱し、グリフからルーンを抽出することでようやく、さらに難しいルーンを解読するための知識を得ることができる。辛抱強く他の学生と一緒に研究し、グリフの作成と解体を行えば、いずれ相互作用と本当の意味を理解できるようになる。

特に文字がそうだが、言語はアルトマーにとっても非常に重要なものだ。我々の歴史を保管できるだけでなく、文字があるからこそ、未来を約束された我々の実態を捉えて定義し、全てのエルフに自分の立場を確認させることもできる。アルトマーの社会がタムリエルで最も整然としていて、系統立っているのは偶然ではない。それはザルクセスの意志なのだ。聖なる文字を扱う学者司祭は謎に包まれた存在だが、大昔に失われてしまった言葉を保管していると言われている。ヘラアメリルの「原形を繋ぎ止める者との会話」では、作者不明の文章の中で、巻物を利用することで味、匂い、踊る姿の幻影を作り出し、さらに例え読み書きができなくても、凝視するだけで読めるようになる文章を生み出せることが示唆されている。ヘラアメリルを信じるとするなら、これも文字による魔法の1つである。

日常に目を向けてみよう。戦争を始める際に偉大な将軍が演説を行えば、士気が上がり兵士は素晴らしい働きをする。熟練の吟遊詩人が歌えば感情が刺激される。子供にとって母親の声は癒やしの効果がある。会話や文字を通して意志を伝える日常生活の中に、魔法の断片のようなものが見えてこないだろうか? 確かに消滅しつつあるかもしれないが、それは黎明期以前の力の名残かもしれない。細かい話はここでは省くが、タムリエルの歴史を紐解いていけば、この考察を支持する証拠はもっと見つかる。同僚たちとこの仮説について論じるのが楽しみだ。

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