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書籍

次の機会を待て

フルグルシュ・グロー・オスガル著

クログ王がダガーフォール・カバナントと協定を結んで以来、私は渡航規制が緩くなったのを機に、ハイロックとハンマーフェルで商売する機会を求めてきた。予想していたとおり、鼻であしらわれて罵倒されたことは何度もあった。酒場では近くのテーブルにいる声のでかいオークの冗談を聞き流し、すれ違った時足下に唾を吐く衛兵にも気付かないふりをした。だが予想外だったのが、私の会ったブレトンとレッドガードの多くが、オークの要塞を褒めそやしていたことだった。私達が意見の不一致を(たとえ剣を使ってでも)すぐに解消して、わだかまりなく次に進むということについても感心していた。

愚かな人間達だ。

寛容なのは他のオークに対してだけだということに気付いていないのだ。モーロッチの掟で、どれだけ時間が掛かろうとも、あらゆる怒りに対して仕返しをしなければならないと定められていることを知らないのだ。奴らは今、私達が尊いカバナントの熱烈な一員だと考えている。私達がオルシニウムの襲撃を忘れ、過去のことを水に流すと信じているのだ。

奴らは間の抜けた牙のない顔で私に微笑みかける。そして私は微笑み返し、うなずき、エルフの冗談を言う。だが心の中で、オルシニウムを略奪した者は、その何倍もの報いを受けることになることを知っている。だがブレトンとレッドガードがそれに気付くことはない。なぜなら奴らは、あらゆるオークが次のような信条を心に秘めていることを知らないからだ。

「次の機会を待て」

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